青の時間

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「男が好きとか気持ちわりぃ」  同級生が大きな声で囃し立てる。騒がしかった教室は、あの時一瞬静まり返った。気にしない振りをして、そちらを窺う教室内。  俯いた俺の恋人は顔を上げ、自らを嗤うように言った。 「気持ち悪いだろ? だから五十嵐が付き合ってくれてなきゃ、死ぬまで恋人ごっこですら出来ない」  高校時代、一時俺たちは付き合っていた。友人ではなく恋人としてだ。告白してきたのは確かにあいつの方で、受け入れたのは俺。  無理に付き合っていたわけではない。でもあの時同級生に茶化され、結局そうだったことになった。  自然と別れることになった。  あいつといればまた同じように「気持ち悪い」と罵られ、「付き合わせるのもいい加減にしろよ」とまるで俺の代弁だとでもいうように言葉があいつに突き刺さった。ごめんと謝るあいつにそんなことはないと否定したが、同級生の前で堂々と守ったりはしなかった。  自然に恋人関係は解消され、それどころか友達も解消された。
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