青の時間

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 みんな今何してんの、と聞こうとして口の中で溶かした。  太田は店を開けてくれているからまだしも、俺自身一流企業にいるわけでもない。学生時代とは違い差がつくとしたら仕事のことで、あまり触れるべきではないかと思った。  学生時代同性と付き合っていることを馬鹿にされたが、それは自分とは違うものだからだ。少数派で、珍しいもので、自分たちとは違うもの。圧倒的大多数を味方につけて下に見てもいいもの。  二人はあいつらではないが、せっかくだから学生時代の思い出話だけだっていいだろう。自慢話があるのなら自分から披露してくれるはず。実際学年同窓会では、そうしてたいして仲がよくもなかった奴の話を聞いているだけだった。
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