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僕は圧倒的に好き
僕には好きなものがひとつある。
それは……眉毛だ!
意思の強そうな鋭い眉毛、優しそうな貧弱な眉毛、圧倒的敵役三下の生意気な眉毛など、どれを取ってもとてもいい!
でもこんなこと脳内で思っていても、さすがにオープンにひけらかして言うことなどできないので、僕は日々、ひっそりとみんなの眉毛を見守っている。
しかし、そんな安全・安心眉毛ライフにも終止符を打たれてしまった。
なぜかって?それは………、
「ねえ、君。何時も俺のことを見てるよね」
今一番の推し眉毛(を持っている人)に、僕という存在が認識されてしまったのだ!やばい、認知された。オタクなら分かるだろう。認知はやばい、すごい、ヤバイ。
「ねえ、なんとか言ったらどうなの?もしかして聞こえてない?」
やばい、すごい。一度ならず二度も話しかけられた。というか僕も答えないと。
「え、えと…、聞こえてます」
「本当に?じゃあ聞くけど、何でいつも俺のことを見てるの?」
これは素直に言ったほうがいいのかな。でも、気持ち悪がられたら……。
仕方ない、誤魔化そう!
「じ、自意識過剰なんじゃないですか?ぼぼぼ僕、あなたのこと見たことないですし?」
「そんなわけないよ、だって俺、君のことずっと見てるし。俺が見てる間、君たまにこっちをチラチラ見てきてるから」
「………」
返す言葉もない(因みに論破されたから言葉を返せないのではなく、眉毛の神が僕をずっと見ていたということに何で見ていたのか怖すぎて聞けない、ということで返す言葉もない)。
「で、何で俺のことを見てたの?もしかして……」
やばい、もしかしてばれていたのか?僕が眉毛の神の眉毛が好きなことを。
「すみません、あなたの眉「俺のことが好きなの?」きで」
ん?この人、なんて言った?
「今、俺のこと好きって言いかけた?そうなんだ~、俺のことが好きなんだね」
あれ?なんかこの人、誤解してない?
「いや、違くてあなたの眉「照れなくてもいいって、ちゃんと俺は分かってるよ」あ、そうですか」
分かってるのかなあ?僕が眉毛を好きってこと。
「実はね、俺も君のことが大好きなんだ。両想いだね!両想いってことはこれはもう、付き合うしかないよね?そうだよね?」
な、なんかよく分からないけど、話が何故か付き合う方向にいってない?
「というわけで、これからは恋人としてよろしくね?」
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・登場人物は、二人とも高校生。電車通学。
・攻め(俺といっている方)は、実は受け(僕といっている方)の性癖(眉毛)を知っているが、自分の存在を眉毛よりも印象を濃くするために敢えて受けの話を遮っている。
・なんだかんだ受けも流されて好きになっちゃう。
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