絶対に言えない!

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絶対に言えない!

「ねえねえ、いい加減好きって言ってよ~」 「やなこった。嫌いなもんは嫌いなんだよ。なんでお前に好きなんて言わなきゃいけないんだ」 「そう言われてもドアの所に書いてあるんだからしょうがないじゃん。早く出たいから言ってよ~」 そう、何故かドアに書いてあるのだ。『出して欲しければ、背が小さい方が高い方に好きと言え』と。俺たちはよくわからないが気がついたら何もないこの部屋にいて、閉じ込められていた。 「っていうか、そんなに早く出たいなら、お前が言えば良いじゃないか」 「え~、だって、『背が小さい方が言う』って書いてあるじゃん。俺が言っても特に何も起きないよ?さっきもやったじゃん」 こいつの言う通り、さっき言ってもらったが、ドアは開かなかった。 「だとしても、俺が言うことは無いだろ」 「いや、あるでしょ。背が俺よりもちっちゃいし、条件に当てはまってるじゃん」 確かにお前よりは(少しだけ)小さいがこいつはそんなに俺に言わせたいのか?部屋を早く出るために。なんのために俺が言い渋っていると思っているんだ。いや、分からないだろうな。俺のことをただの知り合いにしか思ってないから。 「ねえー、早く早く!」 ほら、何とも思ってない。俺がお前を好きなのに少しも気付いていない。 「ねえってばー」 「………」 「ねえ」 「………」 「ねえ」 「っうるさい。何度も言ってるだろう?言いたくないって。お前には絶対言いたくない」 言ってしまえば、俺はもう戻れなくなる。好きすぎてお前との温度差に悲しくて心が壊れてしまうだろう。 「………、そんなに言いたくないの?俺のことがそんなに嫌いだった?」 「いや、そういう訳じゃな…」 「いやっ!聞きたくない!」 「いや、だから違…」 「もういいよ、言い訳なんてしなくて。嫌いなんでしよ?俺のこと。分かってたよ、最初から。俺が目を合わせようとする度に、目をそらしたり、触れようとしたら、ひゅって後ろに下がって避けるし」 そりゃあ、そらすし避けるだろ。だって、目があったら、顔が赤くなって恥ずかしいし、触られたら、心臓がどきどきするのが伝わるかもしれないじゃないか。 「……もし俺じゃない人だったら『好き』って言えたの?」 「そうかもな」 お前じゃなかったら、適当に『好き』って言って終わらせられたかもしれない。 「じゃあ、だったら俺を他の人だと思って言ってよ」 「お前には言えない」 言えるはずもない。もしかしたら加減を間違えて本気で『好き』って言って気持ち悪いなんて言われるかもしれないから。 「っ!なんで?そんなに気に入らないことしたかな俺。嘘でも良いから『好き』って言ってよ!」 「言えるわけ無いだろッ!お前が嫌になると思って言わなかったが、お前に対して恋愛感情を持っているんだ。どうだ?こんなことを言われてもまだ『好き』と言え!なんて言えるのか?」 「……」 「やっぱりな、俺のこと、幻滅したんだろ」 まさかそうだとは思っていなかったんだろう。引かれてしまった。 「こんな俺とは同じ空間に一緒にいたくないだろう。だから、言ってやる」 「「好き」」 ん?なんか、二重に聞こえたな。まあ良い、ドアも開いたようだし早く部屋から出よう。 「おい、開いたから出るぞ。おい、おいって……んっ?!」 何故か唐突にキスされた。 「…っ、っい、や、やめろ!」 「なんで?良いじゃん両想いでしょ?俺たち」 「……何を言ってるんだ?お前は俺に引いてたじゃないか」 「引いてないって。ただ嬉しくてぽやーんとしてただけだったって。それに、そのあと『俺も好き』って言ったのに被せてきて、挙げ句に理解してくれないし」 二重に聞こえてたのって空耳じゃなかったのか。というか……、 「好きだったのか」 「うん。大好き。もちろん恋愛感情の方でだけど」 「そ、そうか」 ま、まじか、俺のことが好きだったのか。好き…好き。 「ちょっと、そんな顔しないでよ。襲いたくなるじゃん」 「そんな顔って」 「なんか真っ赤になって照れてるようなそれでいて嬉しいって感じの顔」 俺、そんな顔をしてたのか。めっちゃ恥ずかしい。 「ねえ」 「なんだ?」 「ドアの外出たら、また好きって言ってね。じゃないと、襲っちゃうよ?」 「わ、わかった」 そうしてドアを出たあと、俺はこいつに改めて『好き』と伝えた。そして、こいつも『俺も好きです、付き合ってください』と言ってきた。もちろん答えはイエスだ。そして晴れて俺たちは恋人になった。 ┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄ ・受けはこの視点の人。一応、一匹狼という薄ーい設定もある。攻めはチャラ男。 ・実は他の人からは両片思いだとバレバレだった。 ・ドアを出て恋人になったときから2人とも何処に言っても(学校もトイレも教室移動も)片時も離れない。
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