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熱中症
「ねえ、如月。熱中症ってゆーっくり言ってみて」
突然うるさいやつが話しかけてきた。っていうかなんだよ。授業終わって早々開口一番で言うことじゃないだろ。
「ささっ言ってみて?」
熱中症をゆっくり言ってなんになるんだよ。おい、そんな飼い主にご飯待たされているようなチワワの目で見るな。
…仕方ない、俺も暇だし言ってやろう。
「ネッチユーショー」
「それじゃない!!」
「じゃあなんだよ」
熱中症をゆっくり言ったら『ネッチユーショー』になるだろ。
「もー、違うでしょ?ちっちっちっ」
どこが違うんだよ。っていうか、『ちっちっちっ』の時にご丁寧に人差し指を揺らしやがって。
「正解はねー、『ねっ、ちゅーしよ?』でした」
「……恥ずかしくねぇの?」
「恥ずかしいわけないじゃん。恥ずかしいわけ……」
恥ずかしいんじゃねえかよ。
「っていうか、僕が正解を言ったんだから如月も僕に言ってよ!」
「なんで?」
「なんでってそりゃ、僕に言ってほしいからだよ!」
「ふーん」
「『ふーん』て、もう、誤魔化さないでいっ」
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
「おい文月、授業するから席に早くもどれ」
「えっ、わ、分かりました」
チャイム鳴っちゃったか。まあ、いいやあのうるさい文月に最後の意趣返しとしてコソッと言ってやろう。
「文月、ねっ、ちゅーしよ?」
「えっ?如月…」
「おい文月、早く席に戻りなさい」
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○如月…主人公。文月をよくからかう。
○文月…如月のことが大好き。だからよくちょっかいをかけちゃう。
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