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「随分咲いたね~」
「そうね」
桜が満開の並木道。
私と練は並びながら歩く。
桃色と白を混ぜた光景はとても綺麗だ。風が時々吹き、花びらが散る様も儚さを感じ、心を揺さぶられる。
いつもだったら、この素晴らしい光景を手放しに喜んでいる。
だが、去年突然花粉症になってしまった私にとって、気楽に楽しめるものでは無くなってしまった。本格的に春の訪れが来たということは、同時に花粉の脅威も引き連れてくるからだ。
今は薬で抑えているが、それでも顔のパーツが痒くて仕方ない。
練は花粉症では無いから、何の気なしにはしゃいでいる。それは嬉しい。
だが、同じ辛さを共有してくれない事に、八つ当たり気味の怒りを覚えることもまた事実だ。
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