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「なんかね、本で読んだんだけど桜が綺麗に咲く理由って、桜の木の下で死んだ死体を養分にして、それを使って咲き誇るんだって。昔の人って凄いこと考えるよね」
「そうだね」
何とかそれだけ返す。
練はよく変なことに興味を持つ。それは良いことだと思うし、私の知らない話を練の口から聞くのは楽しい。
だが、いつも唐突だから必ず毎回戸惑ってしまう。別にそれで困る事は無いのだが、上手く返事が出来なくて変な子に見られてないか、それだけが少し不安だ。
「死体が埋まってるって思いながら見ると、この花びらの一つ一つが命の輝きみたいだなって思えてきてね。命を散らすって表現、もしかしたら桜を見て思い付いた誰かが広めたのかなって」
「そう言われると、桜は不気味な花に見えてくるね。この綺麗さも、命を吸い取った残り物に感じるわ」
「あ、確かにそうかも。やっぱり叶ちゃんの発想って面白いね」
「どうも」
褒められてつい嬉しくて顔が赤くなってしまう。バレないよう、視線を外してそっぽを向く。
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