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11 ②(2) R-18
俺はそのまま薫さんを予てより準備してあったマンションへと連れて行った。
この日の為に俺は必死に頑張って来た。
あの頃の俺では薫さんに信じてもらえない。頼ってもらえない。それが分かったから薫さんの元へ押しかける事をせず、身を引き裂かれるような痛みに耐えて勉強に身体作りにと頑張った。
ただ薫さんに認めてもらいたいが為だった。
そして決めていた。大学を卒業したら薫さんを迎えに行こう。
一人前とはまだ言えないかもしれないが、それ以上は耐えられなかった。
いくつもいくつも手放して来た薫さんとの時間。二度と取り戻す事の出来ない大切な時間。
大きなベッドにゆっくりと薫さんを降ろし、震える手でもたつきながらも丁寧にボタンを外し薫さんの衣服を剥ぎ取っていく。
自分も急いで身に纏っていた物を全て脱ぎ去り、薫さんの上に覆いかぶさった。
重くないだろうか? 潰してしまわないだろうか?
沢山の不安と緊張でドキドキと煩く騒ぐ心臓は口から出てしまうのではないかと思うくらいで、それでも触れたくてあなたの中に入りたくてもう我慢の限界だった。
目の前にある愛しい人の額に頬に唇を押し付けるようにした。とてもキスとは言えないような稚拙なもの。それでも少しの刺激にも甘い声をあげる薫さんに口角が上がる。
「あ、あ、あぁ……! やぁ……っかえ、で……、く……っ」
「薫さん、薫さんっ、好きです。大好きです。誰よりも愛してます。お願い俺のモノになって? このネックガード外して? お願い。お願い、薫さんっ!」
情けなく眉根を寄せてキスの合間に必死に懇願した。
俺に最初から余裕なんかありはしない。
やっと迎えに行ってみればどっかのαに求婚されているし、八年も待たせてしまって俺の事を受け入れてくれるか不安で不安で仕方がなかった。
無理やりネックガードを外し項を噛んで番になる事は、たとえできたとしても許されない。
俺は薫さんに許されたい。求められたい。認められたいんだ。
ネックガードごと項に牙をたててしまいそうになるが必死に我慢して懇願を続けた。
何度目かのキスの後、薫さんは蕩けた顔のままこくこくと何度も頷いておぼつかない手つきで首に巻かれたチョーカーを外した。
――――――許された! 俺は薫さんに認められたんだ!
俺は嬉しくて嬉しくて、ただ……嬉しかった。
今までの辛く悲しかった想いが全て消えてなくなった気がした。
*****
可愛くぷっくりと膨らむ小さな胸の飾りを摘まんだり潰したり、すると薫さんは一層甘く啼いた。
その姿を見るだけで、その声を聞くだけで俺のはちきれんばかりに膨れ上がった中心が弾けそうになる。
だけど我慢だ。下手くそで早漏だなんて思われたくない…………。
本当は今日は薫さんと少し話ができたら、くらいに思っていた。
それから薫さんの気持ちを確認して、別の日にきちんと正装して手には抱えきれない程の薔薇の花束を持って忘れられないプロポーズをして――――ふたりで薫さんのお父さまにお許しをいただきにいくつもりだった。きちんと手順を踏む事で、もう子どもではないと薫さんに安心してもらいたかった。
不安から思わず口に含んでいた薫さんの胸の飾りに歯を立てた。
「やぁっ!」と上がる悲鳴のような嬌声。焦り身体を離そうとして薫さんに腕を掴まれる。
「かえ、でぇ、かえでぇ……、も……きてぇ……?」
まだ殆ど何もしていないのに、蕩けきった顔でたどたどしく誘う薫さん。
小さい頃から薫さんの事だけが欲しかったから実戦経験はない。
幾度もこの日の為にシミュレーションだけは頭の中で繰り返してきた。
ただでさえ弾けてしまいそうなのに愛しい人に可愛く強請られてしまってはもう無理だった。
ヒート中のΩの蜜壺はどんなに大きい物でも受け入れられるようになっていると聞くが、絶対に傷つけたくはないので僅かに残る理性で念の為に指を指し入れ中をかき混ぜてみた。
充分な広がりを感じる。これなら大丈夫、だと思う。
「やぁ……っはや……くぅぅうう!」
薫さんの中心はダラダラと透明な液を垂れ流し、蜜壺からもとろとろと愛液が零れ出していてシーツに大きなシミを作っていた。
ごくりと唾を飲みこむ。
そしてそのまま猛り切った中心を薫さんの蜜壺に突き入れた。
一気に奥まで押し込む。
「あぁあああ……っ!」
薫さんの目から涙が零れる。
そして俺の目からも。
ふたりの想いは同じ。
そしてぶわりぶわりと広がる甘いフェロモンの香りと甘い嬌声。
俺たちは理性を完全に手放し獣のように交わり合った。
ずちゅずちゅと淫猥な音と互いの荒い息遣いだけが部屋に響く。
「あ、あ、あぁ!! しゅきっしゅきっかえで! かえで! かえでぇ! かんでっかんでーっ!!」
うわ言のようにそう叫ぶ薫さん。多分Ωの本能がそうさせているのだ。
絶え間なく動かしていた腰をひと際大きく引いてガツンと深く深く突き立てた。
最奥に精を放ち、同時に薫さんの項に牙をたてる。
ぶちぶちと皮膚を切り裂き食い込んでいく牙。もっともっと深く深く……。誰にも渡さない。
俺の――――――番。
「あぁあああ――――っ!!!」
薫さんの身体がびくびくと痙攣し、やがて動かなくなる。意識を失ってしまったようだ。
幸せそうに眠る愛しい番の額にキスを落とし、俺もそのまま意識を手放した。
それから目が覚めてはセックスをし気を失って、また目が覚めたらセックスをしの繰り返しだった。
途中赤ちゃんのように何もできない薫さんのお世話をしながら、初めてふたりで過ごすヒートに幸せを感じていた。
永遠に続けばいいのにと思ったが終わりは必ずくるもので、きっちり一週間でヒートは終わってしまった。
隣りで眠る薫さんが俺が身じろいだのを感じ、すりすりと擦り寄って嬉しそうに笑ったのを見て思わず呟いた。
「俺の番が可愛すぎる……」
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