マッチャ、ごめんな。

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翌日。 実験は失敗し、僕のからだは木っ端微塵になった。 マッチャが尾をふっている。 ちぎれるほどに、ちぎれた僕の、すぐそばで。 くぅーん。 ああ。 血に霞んでゆく視界の向こうに 宇宙から舞い降りて来る妻が見えた。 連れて行かないでよ、とマッチャが歯を剥き、 妻に飛びかかるのが見えた。 マッチャの牙は妻を素通りした。 そして、地球には誰もいなくなった。 マッチャは哀しげに宇宙へあがってゆく僕の 魂を見上げている。 妻と手を繋ぎながら、 茶色く霞んだ地球から離れていく。 ワォーン。 マッチャが僕を何度も呼ぶ。 その遠吠えは次第に遠ざかり聴こえなくなり、 静寂に包まれた時、僕は星になっていた。 隣で輝く妻が僕をそっと抱きしめてくれた。 失うものがあったのだ。 でも何もできなくなってしまった。 マッチャ、嗚呼、ごめんな。
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