マッチャ、ごめんな。

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犬よちぎれるほど尾をふってくれる。 美しい景色を見たら興奮するのは 犬も人も同じだな。 マッチャは緑の芝生を縦横無尽に走り出す。 ここはかつて失われた地球上の絶景を人工的に作り出す研究をしている特殊なドームの中だ。 ここの研究所の長は僕だ。所員はいない。  荒廃した緑の無い地球はもう美しくないと誰かが言い出し、地球に似せて造られた人工星にもうずっと前にみんな引っ越して行った。 両親も親戚も友人もみんなみんな、太陽も必要ないくらい完璧な大気に守られたその星に乗って未知の銀河を巡りながら生きていく旅のような暮らしへの期待で胸をいっぱいにしながら去ってしまった。 後に残ったのは僕と捨てられていた誰かの飼い犬、 マッチャだけ。
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