第四章

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 鵞鳥を導き、ノットと肩を並べて、灰色の風景の最奥を目指す。シェルムさんのお墓の葉っぱを払い、足早に通り過ぎる。明日こそぴかぴかに磨き上げると約束をして。  私の特等席、石の椅子の上にも枝葉が積もっていると思ったが、行ってみると綺麗なものだった。隣に佇むルーセルの仮の墓標にも、瑞々しい花輪がかけてある。  頭一つ分上にあるノットの顔を見上げると、ふいと目を()らされた。つまりこれは、彼の心遣いというわけだ。亡き人たちへの。そしておそらく、私への。ノットは私を、私自身より熟知している。 「ノット、ありがとう」 「俺は大したこと……」 「充分よ。愛されてるっていう確信ほど、心強いものはないんだから」 「……それが伝わってるなら、俺に言うことはないよ」    ノットは二羽の鵞鳥の首を抱いてしゃがみ込んだ。ほら、と軽く促される。私は感謝を込めて微笑み、花輪に彩られた墓標と向かい合った。  ノットと相談して、ルーセルが安眠できるお墓を立てなくては。「記録」も書かないと。ほかのお墓の管理もある。明日からは忙しくなる。でも不安も負担感もなく、むしろ胸は躍っている。  ああ、今なら彼に、伝えられる。両手の指を組んで、目を閉じた。 「私が貴方の跡を継ぐから。安心して――おやすみなさい、ルーセル」  いつか私が「恵み」を受けるそのときは、どうかあなたの子守歌で、また私を泣かせてね。
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