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「8時から11時までは仕事の時間。ラジオを聞きながら仕事するんだけど、昨日はどんどん仕事を片付けたから10時半には終わっちゃった。やっぱり時間に名前をつけるだけで、ものすごく時間を有効に使えるのよ。」
母の話は意味不明であるが、とりあえずうんうんと肯いておく。
「それでね。大事な話はここからよ。夜の8時以降は何もしない時間に決めたの。つまり、あなたが8時前にここに到着した場合は、夕食の味噌汁をあたためたり、お椀によそったりするけど、もし8時過ぎた場合は、私はもう何もしない時間だから、全部自分で用意してちょうだい。」
「えっ?マジ?」
「真面目によ。もう私もトシだから。そのくらい自分に優しくしてもいいかなと思って。ね。お願いしますよ。」
「あ、そう。わかったよ。」
たった、そんなことではあるが、俺は何だか母に見捨てられたような気分になった。
くそっ!福ちゃんねるめ・・・
母の心を絶妙に操る福川永介に、俺は妙な嫉妬心を抱いたのだった。
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