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夕方6時に職員室に戻る。
一日姿勢を気をつけただけで引き締まった気がする腹筋。
心地よい達成感に自然と笑みがもれる。
「いい顔してますね。塩崎先生。」
沢田先生は半袖短パン姿で俺の後から職員室に戻って来た。
「塩崎先生、もう帰れますか?」
「ああ、部活にはそう言ってきた。」
「俺はあと少しやることあるんで、先にスポーツXXXに行って矢崎って店員に靴とウェア選んでてもらえますか?」
「わかった。」
スポーツXXXは学校から車で5分。
広い駐車場には数十台の車がビッシリ並んでいる。
店内に入り、近くにいた若い女性店員に
「矢崎さんいらっしゃいますか?」
と尋ねると、眉をひそめ顔をしかめて
「どういったご用件でしょう?」
と言う。
「あ・・その・・その方に直接お話するようにと友だちから頼まれたことがあるんです。」
「承知いたしました。こちらでお待ちください。」
間もなく姿を現した若い女性には『研修中 矢崎里香』という名札。
まるで天使が舞い降りたかのような清楚な美しさ。
俺は面食らった。
「あ・・あの・・・」
「お待ちしてました。沢田先生から連絡をいただいてましたので。塩崎先生ですね?」
「はい。」
「どうぞ、こちらへ。」
矢崎里香について靴売り場へ向かう。
「沢田先生からの情報をもとにウェアと靴をチョイスしてみました。まず、ウェアですが、こちら試着していただけますか?」
爽やかな彼女のペースに乗せられ、あっという間に俺はウェアや靴、帽子、スポーツ用偏光サングラスなど十数万円の買い物をしてしまった。
ヤベ~~!
こうなったら後には引けない。
すると矢崎里香は、ポケットからスマホを取り出し、何かうなずきながら俺にこう言った。
「沢田先生からの伝言です。急用ができて今日これからご実家へ直行しなければならないそうです。もし、塩崎先生がイヤじゃなければ・・・ですが、私、今日はもう仕事上がりますので、マラソンの練習にお付き合いさせていただきますが、いかがでしょう?」
「えっ?嬉しいです。本当に、お付き合いいただけるんですか?」
「ええ。じゃ、少し待ってて下さい。あ、その前に、もしはぐれるといけないので連絡先交換しませんか?」
「あ・・・はい・・・」
どういうことだ?コレは?
まさか沢田先生の策略か?
俺は女性に対してはビビリなので少しドキドキしながら連絡先を交換した。
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