episode2

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「ダメだ」 「あれ、マネージャー、どうしたんですか。デスクに戻ったのにまたこっちに来て」 と、頭上から声が聞こえて上を見上げると背後に柊がいた。 「二人で飲むのはダメだ」 「何でですか?だって琴葉ちゃん全然俺に心開いてくれないんですよ」 「開いてますって!」 わかっている。涼に下心はないし、仕事上仲良くなるために誘ってくれていることも。 「じゃあ俺も行く」 「え…」 「藍沢は酒が弱いんだ。何かあったら大変だろ」 「…まぁそうか。じゃ、マネージャーに奢ってもらおうか!」 涼は誰に対しても対等に、そして壁を感じさせない接し方をする。それは柊に対しても同じだ。 「え、じゃあ今週末涼さんだけじゃなくてマネージャーも一緒に…?」 「なんだ、そんな嫌そうな顔するなよ」 「嫌じゃ…ないですが」 「まぁ上司と飲み会って普通嫌だよね。俺は全然気にしないけど」 「でしょうね…」 「あ、電話だ」 涼の会社用携帯が鳴って、席を離れた。 柊が飲み会に来るならば、琴葉としては涼と二人の方がまだマシだった。 涼がフロアを抜けて視界から消えると 「今日の夜、取りに来いよ」 「…絶対ですか」 「絶対だ」 柊が去り際にそう言った。引きつる顔をなんとかほぐそうとするが無理だった。琴葉は鬱屈した気分のまま午後の仕事にとりかかった。
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