※※廉也END※※両想いのキス

6/11
前へ
/159ページ
次へ
けれど、俺はもう逃げないと決めたのだ、この気持ちから―――……。 「木城くん?」 「廉也さん、あのっ……」 心配をした廉也さんが俺の顔を覗き込む。うわ、ドアップだ。 「車の中で話しても、いいですか?」 「うん、そうだね?」 慌てて視線を逸らした。だってあんな整った顔を直視できる人がもしいるならば、ぜひお会いしたいよ。 赤面をする俺の様子を見て、廉也さんはなぜだか機嫌をよくしてた。 さーて、と。なにから話そう? 今さらかよ? 駅のパーキングエリアに停めてある、廉也さんの車に乗り込んだのはいいが...。 あ、そうだ、試合! このあとは、茂森の試合観戦に行かなくては。一世一代の告白だが、本音はムードある場所でしたかったのだが。静かな車内に、たまりかねた廉也さんが言葉を発する。 「このままパーキングエリアにいてもね。場所を変えようか?」 「いえ、このままで」 「このままでいいの?」 「はい」 もう言おう!意を決して顔を上げて、不思議そうな顔つきの廉也さんと見合わせた。返事が大変遅くなったけど。やっと俺は、あなたが好きだと気がついたんだ。憧れではなく、本当の『好き』に。 「俺......」 切羽詰まっる俺を見て、『落ちついて』、と廉也さんは優しく微笑む。なんとかリラックスが出来た。大事な告白だ、ちゃんと心を込めて伝えよう。 「廉也さん、返事が遅くなってごめんなさい。俺は廉也さんが好きです」 ......好き、の意味が伝わったのかだろうか。 「1人の男性としてあなたが好きです。俺は年下だし、意地っ張りだし、可愛くないけども。恋愛なんかした経験がなっ......い.....けどっ」 運転席から身を乗り出した廉也さんにいきなり抱き竦められた。 どきん、どきん。 鼓動が速い。 ドキドキしているのは、俺だけではない。廉也さんも────? 「ほんと?ありがとう、木城くん!俺も君が好きだ、大好きだ。ずっと言ってるけどね」 大人なのに。廉也さんが向けた笑顔は、嬉しそうな、照れたような、無邪気な弟達とよく似ていたんだ。 「廉......っ也さっん」 不意に俺の唇にふわりとあたたな感触が。見つめ合う目と目。ああ、そうか。キスしてんだ。キスを。 「俺を選んでくれて、ありがとう」 とくん、とくん。甘い疼き、心臓の音が速い。このままずっと、この胸に抱かれていたい。至福のひとときだった―――。 が、そうゆっくりもしていられないのが現状だ。 「廉っ……?……はっ、…んっんっ」 フレンチキスから、強引なキスへと変わる。体から力が抜けていく、息が……できないよ。 「ごめんね、嬉しくて。つい……。木城くん?」 「はっ、い」 心配そうに、息のあがった俺を覗きこんでいた。深呼吸をして息を整える。 「廉也さん、あの。実は……」
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

95人が本棚に入れています
本棚に追加