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試合会場に着いたのは、11時頃だった。車での移動中に、その詳細を話す。
「今日は、幼なじみの茂森のサッカーの試合なんです。差し入れを持っていくと約束しました」
「そっか、今日は茂森くんの……。デートはサッカーの応援にしよう。場所はどこ?」
「俺の通う、学校です」
廉也さんが応援に行くと、かえって目立つんじゃ?そんな心配をよそに、運転をする廉也さんはニッコリ微笑む。
「君は友達と観戦するといい。俺は離れた場所で応援するから」
や、でも、あの~。誰かに正体がばれそうだよ!うん、そうなりゃ対処が大変だ!
「まぁ、見つかった時はその時だ。騒がしくなりそうなら、一旦、試合観戦場から出るよ。君たちに迷惑をかけない」
「そ、ですね。あまり騒がしいと試合に影響が……」
「なんとかするよ。サングラスをかけてても、俺だとばれるかな?」
「うーん、たぶん……や、どうなんだろ?」
だって、廉也さんの神がったオーラは、簡単には消せないだろうから。俺の返事に苦笑していた。有名な芸能人って、大変だ!お出かけ1つでも、気軽にできないなんて。俺が選んだのは、そう言う人なんだ。これから先のことを考えると……。いや、廉也さんと幸せになるんだ、マイナスな面ばかりではない、楽しいことや嬉しいこともある。どんな場面でも、2人で乗り越えよう。
車中での話しはそこでストップした。
※※※※※
「木城、遅い!」
「兄ちゃん、遅かったね」
「ごめん、遅れた!試合はどう?」
甲坂と有希人に、軽いブーイングを受けた。甲坂はフィールドに視線を動かす。
「なんとか、うちがリードしているよ」
「ほ、ほんとか!」
「ああ」
よっしゃぁぁ、と心の中でガッツポーズ!サッカーに詳しい甲坂が語りだす。中学時代に仲良かったツレが、サッカー部のキャプテンをしていたんだ。その影響でサッカーに興味を持った、と。
「先制はうちからだな。前半15分、茂森はMFだっけ?そのパスを受けたうちのDF選手が、右サイドから突破して中央にクロスしたんだ。これをMFの田中が押し込んでゴール、まずは先制点な。前半28分には、右サイド茂森のクロスに、中央にいるMF田中がまたシュートを決めて追加点をあげたんだよ」
「そ、そうか??」
なんかよくわからんが、うちが優勢か、よかった!観客席がひときわ賑やかだ。茂森、最後まで頑張れ!俺はこれからも、お前を応援し続けたい。
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