※※廉也END※※両想いのキス

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けどさ。だけどさー。 試合観戦中は後ろの席で立っている廉也さんが気になる。サングラスをかけていても、あの一般人とは違うオーラに、何人かの人が気がつきやしないかとハラハラしっぱなしだった。ハーフタイムが怖いっ。 「あっちさ、なんか人がすごくない?」 「ほんとですね、甲坂先輩!女子が多いです」 「あは、あはは。ほんと、それな!」 あーあ。廉也さんの周りは、女の子ばっかりだ!それをぼんやり眺めている俺は、複雑な心境だった。10分間のハーフタイムが終わり、後半戦がスタートする。キックオフは、相手校からだ。 「うちが2点リードしてるからな~。逃げ切るのもありだな」 「茂森はまだシュートを決めてないから、後半は攻め込むかも」 「尚にぃのかっこいいとこ、見てみたいね!」 「あ!茂森が前に出たぞ?!」 一際歓声が大きくなる。俺たち3人はフィールドに釘付けとなった。 茂森とDF入江選手のセットプレーでシュートの好機(チャンス)を狙う。 「うちのDF、入江のドリブルすげーな!突破力がハンパない!」 「茂森と息があってんだ?」 「そうだろな。ここまで来るには、並大抵の練習量じゃない。お互いを信頼し合ってる」 DFの選手が相手を引きつけて、上手くスペースを作る。マイナス方向にパスをした。 『シュート!!!』 うわ、すげー! 茂森がシュートを決めた! 初ゴールだ! 「兄ちゃん、やったね!」 「うん、かっこいい!」 「やるじゃん、茂森!さすが、未来のエースストライカーだ!」 仲間と嬉しさで抱き合う茂森が、一際輝いてみえた。 試合結果は3ー0で、うちの高校が勝利した。まずは予選1回目は無事に突破。次の試合は11月10日だ。もし応援に行けるなら、次も駆けつけたい。茂森が許してくれるなら─────。
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