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「兄ちゃん、おかえりぃ!」
「にいたん、おかえり!」
午後6時。帰宅をすると圭人と春人が出迎える。
「ただいま。よし、今日の晩ご飯はみんなが好きなハンバーグにするか。デミグラスソースと照り焼きと、圭人は目玉焼きを乗せてもいいよ」
「わぁい、やった!」
「にいたん、ぼくも!ぼくも!」
「春人はそんなに食べれないだろう?」
洗面所で手を洗い、キッチンへ向かう。
「ただいまー」
塾帰りの有紀人だ。
「有紀にぃ、おかえり!」
「おかえりー!」
「晶にぃ、晩ご飯の準備を手伝うよ」
「そっか?あまり無理するなよ?
」
「大丈夫だよ!あ、さきに洗濯物畳まないとね」
今日はバイトが休みなんだ。そのうちに、お袋と親父が二人揃って帰宅した。
うん?手なんか繋いで、親父はニコニコ笑ってて。お袋は恥ずかしそうにモジモジしている。
「お、みんな揃ったか」
「お父さん、お母さん、おかえり!」
「おとーしゃん、おかーしゃん、おかえりー」
いやな予感がした。
「ご報告がありまーす!春人は、来年お兄ちゃんだ」
な、な、なんだって?!
「親父!5人目かよ!」
「あは、次は女の子かな~」
5人目だと?ただでさえ、家計は火の車だというのに?
「俺も頑張って正社員になるからさ。晶人?顔が怖いな」
「当たり前だろ?俺はこれ以上、バイト増やせないよ。大学だって進みたいし」
「晶にぃの言うとおりだね。親父たちが計画なさすぎだよ」
それには有紀人も賛同していた。無邪気にはしゃぐのは、圭人と春人だけだ。
……もう、仕方ないのかな。廉也さんの提案に乗って、早めに俺が家を出るか。
「……そうね、晶人の言うとおりだわ。子ども達に迷惑がかかるもの」
「早樹ちゃん……」
だいたいだな、避妊しない親父が悪いんだよ。落ち込むお袋が可哀想だ。
「あの、お袋、親父。あとで大事な話しがある」
―――その日の夕飯は、圭人と春人以外は心痛な面持ちだった。せっかく夕飯のできばえは、完璧なのに。夕飯のあとは親父が幼い2人と一緒に風呂に入って、寝かしつけたのが午後9時だ。リビングルームで、俺と有紀人、親父、お袋の4人で家族会議をしたんだ。
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