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「晶人、神城さんと付き合っているのか?」
「え、まぁ。はい」
彼方さんは長い息を吐く。反対は、反対、なんだろうな。
「しばらく俺が来ない間に…」
彼方さんには悪かったが、好きになった気持ちは大事にしたい。
「木城さん。この件もそうですが、首を突っ込むには、関わるには、きちんと最後まで責任はとります。経済的な面も含めて。晶人くん達に必要なのは、穏やかな日常生活が送れる場所だと思う」
「……たしかにな。1番優先なのは、義姉さんの体調だ。圭人や春人、有紀人、晶人…。お前らの安定した生活だな。兄さん、あんたは“おまけ”だが」
おまけ…。辛辣なたとえだ!ツラっといいのける彼方さんは、親父に軽蔑の眼差しを向けていた。
「キッツ〜!俺が正社員になって、早樹ちゃんが元気になるまで家のことも手伝うよ」
「あたりまえだ!……それと、こんな時に悪いけど、じつは――」
彼方さんが家を訪れたのは、来年、身を固める報告だった。3年間、付き合っていた彼女とついにゴールイン!
「おめでとう、彼方さん!」
「お、やっとか。堅物のお前が
な~。おめでとう。式はいつだ?
」
「木城さん、おめでとうございます」
「来年の11月だよ。今度、連れてくる。事情を話せば、彼女も協力してくれるとおもう」
彼方さんの彼女か。きっと、ものすごい美人さんなんだろう。
来年は、俺んちは5人目が誕生。彼方さんの結婚。俺は……廉也さんと同棲してるかもしれない。
「話しを煮詰めるが、経済的なことは心配しなくていい。足りない生活費は俺と神城さんで補うから」
「そう、ですね。有紀人くん、圭人くん、春人くんのこともね。心配しなくていいよ」
廉也さんと彼方さんが全面的にバッグアップしてくれる。なんて頼りなるんだ、心強い。それに比べて親父は―――。
チラッと見てみた。
「な、な、なんだよ!俺だって」
「あー、そう?せいぜい、よいところを見せてよ?約束だよ、親父」
廉也さん、彼方さんの前で宣言したんだ。約束は約束だ。親父が道をはずさないように、監視は必要だけど。
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