可愛い幼なじみとイケメンモデル。

6/13
前へ
/159ページ
次へ
 うわぁ……背が高い。  そんでもって、すごく格好いい。  涼しげな目元、少し薄めの唇も形が整っている。手や足のパーツが長く、頭の上から爪の先まで計算されたような完璧なボディーバランスだ。艶かな黒髪がサラリと流れていた。  本職は俳優さん?  それともモデルさん?  どっちなのだろう。 「あきちゃん、あーゆーのがタイプなの?」 「えっ?」  ぼけっと背の高い芸能人オーラ丸出しの神城さんに見惚れていた俺に、茂森の冷たい視線が飛んでくる。 「俺だってさ。俺だってあと5、6年もすれば背も伸びて大人の、格好いい男性になるよ」  へ?  茂森はどちらかと言えば『かっこいい』ではなくて『可愛い』部類だろ。  いや。  いやいやいや。  頭をブンブンと大きく振った。    俺の後ろにべったり張りつく、無邪気な笑顔を浮かべた『背後霊』そのものじゃん?  ……ったく。  どこをどう取れば、現在(いま)のお前が将来、『可愛い→かっこよく』変身するんだ?  飲み干した缶コーヒーをゴミ箱に棄てようと立ち上がった。 ───んが。  この『茂森』。  冗談抜きでマジにだ。  大学生の頃には俺よりも背が伸びて、大人びた雰囲気に成長しちゃってんだから――。それだけでもう不思議だよ。 「あきちゃん、あきちゃん。口から涎が出てるよ。高校生にもなってみっともなくない?」 「う、嘘?!」  慌てて空の缶コーヒーを持つ腕を上げ袖口を唇にあててみた。袖口で拭う俺に、茂森はニコニコと笑う。 「嘘だよ、うーそ。あきちゃん、すぐに引っかかかるからマジ面白いな」 ───我慢がならなかった。 「消えろ!今すぐ俺の前から消えろ、どこかに行っちまえ!」 ……自称(自称っていうところが悲しいが)気の長~い俺にも、限界っていうものがある。  スタジオから廊下へと繋がる扉を指さした。 「大体、お前はなっ。昔っから俺の邪魔ばかりしやがって。なんでいつもいつも……」 「あきちゃん、怖いよ。そんなに目くじら立てて怒ったら怖いって。後ろの人も驚いているよ」  後ろ?……後ろに誰が?  
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

95人が本棚に入れています
本棚に追加