夕立のあと

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1時間ほど寝て、携帯の目覚まし音で 優一(ゆういち)は目を覚ました。 窓から外を見ると雨が止んでいる。 「止んだな、雨…」 そろそろサービスタイムも終わる時間だ。 ここを出るとするか。 なんだか腹が減ってきたな…。 駅前に焼き鳥屋があったな、確か。 持ち帰るとするか。 シャワーを浴びてさっぱりしてから 服を着ていると妻からLINEが入っていた。 『今日は家に帰れそうなの?』 シャツのボタンを留めながら返信する。 『ああ。取材も終わったから戻るよ』 『ご飯食べるよね?』 『駅前に焼き鳥屋があるのを見つけた。いる?』 『いる!ねぎまとつくね、タレでお願い』 『了解』 ゴシップ系週刊誌の記事を書いている優一は 家を空けることが多い。 LINEでのこんな会話は日常でもあった。 妻に不満はない。もちろん別れる気もない。 ただ、ほんの少しオンナとしての興味が薄れて 家族化してしまっただけなのだ。 友梨だって家庭を壊すつもりなんかないだろう。 今日だって、わかばちゃんのお迎えとやらで あっという間に帰っていった。 オンナとしての友梨は魅力的で、 性的に相性もいい。 時間の合う時に会って、メシくらいは食って、 エッチして、バイバイでいいんだと思う。 なんか夕立みたいだな、この関係。 優一はそんなことを思って、 1人ほくそ笑んでいた。
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