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「まあいいじゃねえか。俺くらいの歳になると君くらいの歳の子はみんな子どもだよ」
中年男はミツオの視線をまるで気にしていない。
「いいわけないじゃないですか。俺くらいの歳のやつがみんなおじさんの子どもだったら俺の同級生たちは俺とどういう関係になるんですか。兄弟ですか? クラスで一番可愛いひなのちゃんとも兄妹だったら同じ家に住んでいい道理になりますよね。ラブコメ始まりますよね」
「いや、そういうつもりで言ったわけじゃないんだけど」
「おじさんが変なこと言うから脳内でひなのちゃんが俺んちの風呂入り出しましたよ。どうしてくれるんですか」
「なんだその楽しそうな妄想。俺にもその風呂入らせろ」
「湯に毛が浮くんでダメです」
「そこまで想像しなくても」
ミツオは呆れてますます冷たい視線を男に送る。
せっかく可愛い猫の親子を見てほのぼのしていたのに、この謎の中年男のせいで一気に台無しだ。
すると男が徐にしわくちゃのタバコをポケットから取り出してつぶやいた。
「やれやれ。お前のそういうところ、母さんに似てきたな……」
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