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そうなったら、自分はどうやって生きていけばいいのだろう。
ほとんど王宮の中しか知らないロレーユには、他の選択肢はなかった。
そういった体験を何度か繰り返したのち、彼は女に対する冷淡さといったようなものを身につけた。
手元に来た恋文は、全て開封せずに破り捨てた。
人と会っているときに微笑みを絶やすことはないが、それを崩すこともない。
女たちはロレーユがなかなか心を開かないのに飽くと、他の王子へと関心を移らせていった。
王子は他にもいるのだ。
美貌という点ではロレーユに遠く及ばないにしても、他の王子たちは、間を持たせるための楽しい話題を提供してくれるし、女の喜ばせ方もちゃんと知っていた。
難攻不落のエメラルド城を攻略するよりもずっと手応えがある。
女たちはロレーユの輝きに心惹かれはしても、結局は自分がダイヤモンドになることを望んでいた。
ロレーユには、女たちが望んだものを与える能力が何もない。
彼には純真無垢の精神性はあれど、類稀なる美貌を活かすための実際的な技術を一つも持ち合わせてはいなかった。
女たちは本能的にそれを嗅ぎ分けると、あるものはさりげなく、またあるものは露骨な失望を表して、彼のもとを去っていった。
そうして、あたかもロレーユなど、最初からいなかったかのように振る舞い、弟たちとの交際を楽しむのであった。
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