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「……計画とは、一体なんのことでしょうか?」
お兄様のお言葉に、私はただとぼけることしか出来ませんでした。
とぼけておけば、諦めてくださるのではないだろうか。そう思っていた。でも、私のその考えは何処までも甘かったことを思い知らされる。
「フライアは今、隣国からの留学生とグレーニング侯爵家の次男と共に行動していることが多いよね? それに、王太子との関係はあまり上手くいっていないらしい。フライアが無意味な行動をするなんて、僕には思えないんだよねぇ。だって、一緒にいるのは権力者の有力候補だし」
「……なにが、おっしゃりたいのですか?」
「ううん、なんでもないよ。僕はただ、フライアのことを心配しているだけだ」
お兄様は私の肩に触れながら、そんなことを口にした。
心配なんて、そんな……。そう思ったけれど、思い返せばお兄様が私のことを疎んでいると判断する材料は、全て行動だけだった。拒絶されたことは、一度たりともない。
「このままだと、フライアは幸せにはなれないだろうねぇ。それは、僕としても不本意なんだ。可愛い可愛い妹が、結婚を機に不幸になるなんて、絶対に嫌だ。だから僕は、フライアの狙いであろう王太子との婚約解消に協力しようって言っているんだよ」
すべてを見透かされているような気がした。
お兄様はいつだってそうだった。私の考えの、想像のはるか上を行く。でも、一つだけ否定しておきたい。
私は決して、権力目当てでブラッド様やシリル様とお友達になったわけではないのだと。
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