ヤンデレ予備軍

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 しかし、へこたれる様子はない。強い娘である。  地獄の一週間、大変だったろう彼女の目の下に隈ができているを知っている。  化粧で隠して健気に頑張る姿。  桜子は優しさに目頭が熱くなった。 「私の癒やしは、君だけだよ」 「だいぶ、やられてますね」  訳のわからない発言に、後輩は苦笑しつつも労うように背中を擦る。  暖かい手のひらに、先輩としてしっかりしなければと気合いを入れた。    本来、気を遣うべきなのは桜子である。 「先輩。もう家に帰る予定なんですよね」 「うん、疲れたから、風呂入って寝る」 「そう、ですよね」  歯切れが悪い返事だ。迷うように目線を彷徨わせた。何かを秘密にするように「ゆっくり休んでくださいね」と微笑んだ。  別の目的があったのでは。桜子に配慮したのだろうと、思い切って自ら尋ねた。 「どうしたの? 困りごととか、あったなら言ってね」    あなたのためなら火の中、水の中。  重すぎる続きは、空気を読んで心に仕舞った。
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