ヤンデレ予備軍

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 関わってはならない。本能が告げる。  だが、琥珀に捕らわれた身体は、自分のものではないかのように凍り付いていた。ぞわりと総身が粟立つ。拍動する音が、やけに大きく聞こえた気がした。 「あの、あなたは、どなたでしょうか?」  参加者の女がしおらしく尋ねた。上気した顔、潤んだ瞳を上目遣い。  奇妙な男に対して女の武器を最大限に使っている。見目麗しければ、突如乱入してきた輩でも構わないらしかった。  可能ならば立場を代わって欲しい。  獲物を狩らんばかりに他の女も騒ぎ始めた。  面白くないと、不満なのは男のみである。混乱して戸惑うのは桜子、後輩という何とも妙な空間と化した。  皆をどうやって黙らせるのか。  些かの興味で、真横にある端正な顔を横目で眺めた。  目を細め、唇が弧を描く。裏があると思わせるに十分な怪しい笑みであるはずなのに、妖艶で誑かす魅力があった。  事実、向けられた人間たちは感嘆の声を上げて、熱っぽく蕩けた表情をする。  ますます恐ろしい。何が目的なのか。 「俺はね、この子の彼氏。迎えに来ちゃった」  やけに甘ったるく、しな垂れかかる。
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