オレンジ☆チョコレート

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上條君のあとを付いて行って本棚の前で並んだ。 「他のは?」 「あとのはこっちに入れた。」 上條君は本棚を指で指した。 ちゃんと出来てる。 「出来てるね。完璧だよ。」 そう言うと上條君が笑顔になって 「良かった。」 あれ?今までの笑顔と違う。 そう思っていると上條君が怪訝そうな顔で 「何?人の顔を見て、不思議そうにしないでくれる?」 「いや、今までの笑顔と違うなって思って……。」 「そりゃそうでしょ。今のは愛想笑いじゃないから。」 え?じゃあ、今のが上條君の本当の笑顔? 柔らかい笑顔だった。 そう思っていると上條君が呆れたような表情になって 「そんなにビックリすること?」 「朝から上條君の愛想笑いしか見てなかったから。」 「………で、体は反応したの?」 蔑むような表情で私を見た。 そんな顔しなくてもいいのに……。 体のことも恥ずかしいから質問しなくていいのに…。 「ビックリの方が大きすぎて、分からなかった…。」 「ふーん、俺の愛想笑いの方がいいんだ?」 上條君は腕組みをして本棚に腰をかけた。 「そういうわけじゃないと思うけど……。でも上條君の笑顔は素敵だなと思った。」 そう言うと、上條君が私の下から上を眺める。 どうして見るの? なんか恥ずかしい。 恥ずかしくて横を向くと 「燈は、男のこと、分かってる?」 男の人のこと? 分かってるって何を? そう思いながら上條君の顔を見た。 「その顔は分からないって思ってるね。……まぁ、いいや。もうそろそろ、戻ろう。」 上條君はネクタイを締め直して 「先に戻るから。」 保管庫から出て行った。 なんだか未知の体験しちゃったな。 思い出すとドキドキする。 でもまだ仕事の時間が残ってるから、しっかりしなくちゃ。 戻ると上條君はデスクにあるパソコンを弄っていた。 「上條君、湯飲みを回収して洗ったら、先に上がっていいですよ。」 そう声をかけると、 「はい、分かりました。でも仕事があるのでギリギリまでやります。」 真面目だな。 私も仕事しないと。 5時になって、帰りの準備を始めていると 「的場さん、今日、急遽上條君の歓迎会することになったんだけど、来ますか?」 根室さんが声をかけてきた。 「上條君の教育係りなんだから、出るに決まってるでしょ。」 先輩の下妻(しもづま)さんが話しに入ってきて 「的場さん、出るよね?」 ニンマリとして私の顔を見た。 早く帰りたかったけど、上條君の歓迎会だから出なきゃダメだよね。 「はい、出ます。」 そう言うと下妻さんが 「じゃあ、俺と一緒に行こうか。」 「はい。」 そう言うと上條君が近寄ってきて 「僕も一緒にいいですか?」
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