オレンジ☆チョコレート

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トイレに行って出て来ると、廊下でなぜか上條君が居た。 「燈、呑みすぎじゃない?顔が赤くなってる。」 壁に寄りかかって私を見た。 上條君の答えが嬉しくて呑みすぎてしまったかもしれない。 でも、恥ずかしくてそんなこと言えない。 「そうかな?」 「呑むペース、早く思えたけど……いつもあれぐらいなの?」 上條君が心配そうな表情になった。 私のこと見てたの? なんだか恥ずかしいな。 「うーん、ちょっと早いペースだったかも…。」 少し体がフラッとしたら、上條君が私の手首を掴んで 「大丈夫?」 上條君に手首、掴まれちゃった。 男の人に触られるの初めてだ。 上條君の手が温かい。 どうしよう……ドキドキする。 上條君の顔を見れなくて下を向くと 「具合悪いの?」 上條君が私の顔を覗き込んだ。 顔、近いよ……。 恥ずかしい……。 ドキドキしちゃうよ。 そう思っていると、手首が離れて上條君が小さい声で 「誰か来た。」 そう言って私から離れた。 「あー、いたいた。2人とも来ないから、どうしたかと思ったよ。」 下妻さんが来た。 「的場さん、大丈夫か?顔が赤いな…。先に帰ろうか。」 下妻さんが私を見た。 今の言い方だと、下妻さんと一緒に帰るみたいに聞こえる……。 下妻さん、どうしちゃったんだろう? 「的場さん、困っちゃってるみたいですよ。」 上條君がニコッと笑って、下妻さんを見た。 「上條君は主役なんだから、戻らないと。的場さんのことは俺が見てるから。」 下妻さんがニンマリとして、私の肩に触れた。 え?肩に触れてきた……。 どうして? 「私は大丈夫です。」 下妻さんの顔を見ると、苦笑いして 「そうか?だったら良いけど。」 「先に戻ります。」 そう言うと、下妻さんの手が離れた。 なんか下妻さん、変だ。 先に戻るとすぐに上條君と下妻さんも戻ってきた。 下妻さん、どうしちゃったのだろう。 そう思いながら、ビールを呑んでいると根室さんが 「上條君、質問いいですか?」 大きく手をあげた。 「はい。」 「上條君は彼女いるの?」 根室さんが手でマイクの形を作って、上條君に向けた。 上條君に彼女…? なんか胸がズキンっとした。 なんだろう、このモヤモヤは。 知りたいけど、知りたくない……。 「彼女は、いませんね。」 上條君がニコッと笑う。 彼女、いないんだ……。 彼女がいないと知って、どうしてホッとしているんだろう……。 根室さんが続けて 「じゃあ、好きな女性のタイプは?」 手で作ったマイクを上條君に向ける。 上條君の好きな女性のタイプ……どんな人が好きなんだろう…。 なんでドキドキするんだろう。 上條君は微笑みながら 「タイプは、好きになった人がタイプです。」 そう答えると根室さんが 「カッコイイね、その答え。じゃあ、この中でタイプの女性はいますか?」 心臓がドキンっとした。 どうして胸がドキっとしたんだろう。 どうしてこんなに上條君のことが気になるんだろう……。 そう思っていると、下妻さんが 「根室さん、酔いすぎだぞ。合コンじゃないんだから。」 「えーいいじゃないですか。上條君、教えてー。」 根室さんが頭を横に傾けた。 なんて答えるんだろう……。 どうしてドキドキするんだろう。 上條君をチラリと見ると、上條君と目が合った。 心臓がドキっとなる。 このタイミングで目が合って、恥ずかしい…。 恥ずかしすぎてビールを一気飲みした。
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