オレンジ☆チョコレート

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上條君の住んでいる所は、アパートだった。 上條君がドアの鍵を開けて 「狭いけど、どうぞ。」 初めて男の人の家に入る……。 ドキドキする。 「……お邪魔します。」 靴を脱ぐ前に部屋の中を見ると、キレイに片付いていた。 「見てないで入りなよ。」 横にいた上條君が怠そうに言った。 「うん。」 靴を脱いで上がる。 どこに居たらいいんだろう……。 玄関で止まっていると 「もっと奥に入ってよ。俺が入れない。」 「ごめん。」 上條君は靴を脱ぐと、台所で手を洗って冷蔵庫からペットボトルの水を取り出して 「はい、水飲んだ方がいいから。」 渡された。 「ありがとう。」 ペットボトルを持ったまま立ってると、上條君が奥の部屋に行って、スーツの上着をハンガーにかけた。 奥の部屋は、ベットと小さいテーブルとテレビとタンスしかない。 漫画とか、雑誌とか、DVDとか……見ないし、何かを集めたり、しないんだ……。 「何してんの?」 怪訝そうな顔で私を見た。 「いや、キレイな部屋だなと思って。」 上條君はネクタイを外しながら 「そこに座れば?」 小さいテーブルとベットの間を指で指した。 「うん。」 言われるがまま正座して座ると 「俺は風呂に入ってくるから。好きにくつろいでて。」 え?上條君、お風呂に入っちゃうの? その間、どうしてればいいの? 上條君はタンスから着替えを出して、お風呂に入ってしまった。 どうしよう……。 シャワー音、聞こえてくるし。 なぜかドキドキする……。 何分かしたら、上條君が出てきた。 上下のスエットを着て、顔には、女の人がする顔パックをしていた。 上條君って美容男子? 「何?人の顔をジロジロ見て。」 「上條君がパックして出てきたから、ビックリして。」 「こんなの今どき普通でしょ?」 そういうと、上條君はパックを剥がして洗面台に行った。 シューとか、カチャカチャ何かを振ってる音がするな……。 今ってこれが普通なの? そう思っていると上條君がドライヤーを持ってきてベッドに座って乾かし始めた。 それをずっと見てると、ドライヤーを止めて 「何?」 上條君のやることなすことが初めてすぎて、見てしまうとは言えない……。 「トイレ、どこ?」 そう言うと上條君が立ち上がって台所の横のドアを開けた。 「ここ。」 「ありがとう。」 トイレもキレイだ……。 上條君はキレイ好きなのかな。 トイレから出ると、上條君は小さいテーブルとベットの間を胡座をかいて座って、タバコを吸いながらスマホを弄っていた。 私、隣に座っていいのかな…。 上條君と至近距離になっちゃう…。 どうしてドキドキするんだろう……。 「なに、ボーッと突っ立ってるの?」 怪訝そうな顔で私を見た。 「なんでもない。」 「なんでもないなら、こっち来たら?」 「……うん。」 上條君の隣に正座をして座った。 上條君との距離が拳一個分だ。 上條君を見てると普通通り。 ドキドキしてるのは、私だけ?
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