オレンジ☆チョコレート

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上條君はずっとスマホを弄っている。 無言のまま、時間が過ぎていく。 どうしてずっとドキドキするんだろう……。 「…上條君は、何か趣味とか、ないの?」 そう言うとスマホを弄る手が止まって、私の方を見た。 「突然、何?趣味とかは、ないけど。燈はあるの?」 キョトンした表情になった。 「あるって言えばあるかな。」 「ふーん。何?」 「動画サイトで動画を見ること。」 スマホを出して動画サイトを開いて、動物の動画を上條君に見せると、上條君がスマホを覗き込んできて肩が触れた。 肩が触れちゃった……。 「何この動物、面白いんだけど。」 上條君が笑顔になって、心臓がドキッとなった。 上條君の本当の笑顔だ。 心臓がドキドキしてる。 上條君が私の顔を見ると、蔑むような表情になって 「燈、あの顔になってる。愛想笑いの方じゃなかったの?」 え?あの顔になっちゃった? どうしよう。 「うそ。」 自分の顔を触っていると 「罰ゲームだね。」 上條君が頭を掻きながら 「どうしようかな……。…じゃあ、燈の初めてを見せて。」 私の初めてって何? 「また分からないみたいだね。何でもいいよ、燈が男に初めてすること。」 私が男の人に初めてすること? どうしたらいいの? 「初めてって、上條君にするの?」 「そう。俺にすること。ゆっくり決めていいよ。」 そう言うと上條君は横になって、スマホを弄り始めた。 「ベッド使っていいよ、俺は下で寝るから。」 上條君が使ってるベッドに私が寝るの? 普通のことのように言ってるけど、いいの? ドキドキするよ…。 「あ、風呂入るなら入っていいよ。」 上條君がスマホを弄りながら言った。 男の人の家に来て、お風呂に入っていいものなの? 上條君はこの状況は平気なのかな……。 私はドキドキしてるのに。 酔いを醒ますためにお風呂に入ることにした。 お風呂もキレイだ。 上條君って二重人格だけど、優しい所もあるし……意外な面も知っちゃった。 知る度に嬉しいと思うのは、どうしてだろう………。 そう思いながら、お風呂から上がると上條君は既に寝ていた。 寝ちゃったんだ……。 起こさないようにしなくちゃ。 でも上條君が使ってるベッドに寝れる? いや、寝れない。 …………眠れない。 上條君が寝てる反対側で寝ようかな……。 起こさないように横になろう。 上條君が寝てる反対側で横になると、寝息をたてる上條君の寝顔が見えて、心臓がドキッとした。 ダメだ……ドキドキしちゃう。 起きて体育座りした。 このまま寝ちゃおう…。 トントンと叩く音で目が覚めた。
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