オレンジ☆チョコレート

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音がする方を見ると、台所で上條君が立っていた。 良い匂いがする…。 もしかして、朝食を作ってくれてる…? 手伝わなくちゃ。 「上條君、おはよう。手伝うよ。」 そう言うと上條君は振り返って 「おはよう。女子は朝は時間との戦いだからいいよ。」 時間との戦い? 「メイクとか、髪のセットとか。……燈はすぐに終わるタイプ?」 「分からないけど、それなりに時間がかかるかも。」 「だったら、手伝わなくていいよ。」 そう言うと、上條君はまな板で野菜を切り始めた。 上條君、料理も出来るんだ。 意外だな…。 洗面台を借りると、化粧水や乳液や女の人が使うような美容品が置いてあった。 ここだけ見ると、女の人の家に来たのかと思っちゃうよ。 メイクをして、髪の毛をセットとしていると 「燈、ご飯出来た。」 上條君の大きな声がした。 台所に行くと、上條君が小さいテーブルにご飯を運んでいて 「この食器たち、元カノのだから。」 見ると可愛らしいキャラクターの食器だった。 上條君の元カノ………。 食器があるってことは、一緒に暮らしてたのかな……。 なんかモヤモヤする……。 「可愛い食器だね。」 そう言うと上條君が頭を掻きながら 「こんなのしかなくて………恥ずかしいけど、我慢して。」 恥ずかしいのか目線を外した。 こんな顔もするんだ……。 なんだか嬉しいな。 「何、その顔は?」 上條君が怪訝そうな顔で私を見た。 上條君の見たことがない表情が見れて嬉しいって言っていいのかな……。 「変な顔してる?」 「変な顔というよりは、嬉しそうに見える。何、考えてんの?」 上條君はムッとした表情をした。 ただ、ただ、嬉しいだけ。 「何も考えてないよ。食べようよ。」 そう言って座ると 「今からお仕置きタイム。」 上條君は腕組みをして座った。 え?今から? 「今日1日、俺の言うことを聞くこと。」 今日1日、上條君の言うこと聞くの? また貴族のおままごと、させられないよね……。 上條君は先にご飯を食べ始めた。 「…じゃあ、私もいただきます。」 あ、美味しい。 男の人の手料理を食べるの初めて。 上條君、料理上手だ。 すごいな。 「このお味噌汁も、鮭も、サラダも、美味しいよ。」 「あっそう。口に合って良かった。」 上條君はツンケンしたまま、ご飯を食べる。 何で不機嫌なの……? ご飯を食べ終わると 「燈が食器洗って。」 言うこと聞くって、こういうこと? 「分かった。」 食器を洗っていると、上條君はスーツに着替えて髪のセットをしていた。 上條君がスマホを見て 「もうすぐ出ないと遅刻する。」
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