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急いで上條君と出勤すると、会社近くで
「燈、先に行って。あと、俺の家に泊まったことは秘密にして。」
え?どうしてだろう……。
「昨日と同じ服装で、俺と一緒に出勤したら、みんなから勘違いされるでしょ?」
勘違い?
何の?
「よく分からないけど、じゃあ、先に行くね。」
会社に着くと、根室さんにジーッと上から下を見られて
「昨日、大丈夫だった?飲み過ぎてたけど。」
「はい。」
上條君が言ってた、昨日と同じ服装だからジーッと見られたの?
下妻さんが来て
「上條君、ちゃんと送ってくれた?」
ニンマリした。
「はい。」
上條君の家に泊まったことは秘密……。
そう思っていると上條君が来た。
「おはようございます。昨日はどうもありがとうございました。」
ニコッと笑って席に着いた。
上條君の愛想笑い……。
さっきまでの顔と違う。
そう思っているとスマホが鳴った。
誰かと思ったら、上條君からだった。
『もう俺の愛想笑いに慣れたの?』
慣れたのかな……。
『まだドキッとしちゃうよ。』
そう送ると、『顔はそうでもなさそうだったけど?』と返ってきた。
私の顔をチェックしてるの?
そう思ってると、『下妻さんにコーヒー入れて。』
は?
どうして?
でも言うこと聞かなくちゃいけないんだよね……。
給湯室に行って、コーヒーを入れて下妻さんのデスクに持って行った。
「下妻さん、コーヒー良かったら、どうぞ。」
下妻さんがビックリした顔をしたけど、すぐにニンマリして
「ありがとう。」
これでいいのかな…。
デスクに戻ると、上條君が来て
「仕事を下さい。」
「えっと、封筒にラベルシールを貼って下さい。シートのファイルはこれです。」
ファイルを上條君に渡した。
「はい。封筒はどこですか?」
「封筒はここのロッカーに入ってます。」
立ってロッカーの扉を開けた。
「分かりました。いつまでに仕上げればいいですか?」
「急ぎじゃないので、上條君のペースでいいですよ。」
「分かりました。」
デスクに戻るとスマホが鳴った。
上條君からだった。
『下妻さんに話しかけて。』
は?
どうして下妻さん?
「下妻さん、ここの資料、これでいいですか?」
そう話かけると、下妻さんが資料に目を通して
「いいと思うよ。」
ニンマリした。
これでいいのかな…。
またスマホが鳴った。
上條君から
『仕事じゃないことで話しかけて。』
え?
仕事じゃないことで?
『仕事中にそんなこと出来ない。』
そう返すと、すぐにスマホが鳴った。
『じゃあ、昼食を誘って。ただし、メールで。』
昼食を?
私から?
『今日のお昼、一緒に食事どうですか?』
そう下妻さんにメールを送った。
すると、上條君からメールが来た。
『下妻さん、見てみ。下心、見え見え。』
下心?
書かれている通り、下妻さんを見ると、下妻さんはスマホを片手に私を見ていた。
目が合うとニンマリと笑って、スマホに目線を落とした。
え?
何?
スマホが鳴って見ると、『いいよ。何食べたい?』
下妻さんからだった。
何も考えてなかった……。
どう返そう…。
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