オレンジ☆チョコレート

23/41
前へ
/41ページ
次へ
上條君がフイッと横を向いて 「男のこと、知らなすぎる燈に、男ってどういう生き物か、分からせるため。」 男の人のこと、知らなすぎてるのかな………。 でもずっと王子様が迎えに来てくれると信じてた。 「そうなんだ。」 そう言うと、上條君は怒ってるような表情で 「そうだよ。燈は男を分かってない。」 怒らなくてもいいのに………。 「じゃあ、どうすれば良かったの?」 「考えさせてくださいとか、今日は都合がつかないとか、いくらでも回避する言葉があるでしょ?」 確かにそうだった。 でも、上條君がこんなに怒るとは思わなかったな……。 「今から下妻さんに断ってくる。」 給湯室から出ていこうとすると、手首を掴まれた。 「燈は下妻さんのこと、どう思ってる?」 下妻さんのこと? どうして? 上條君にまた手首を掴まれてドキッとしちゃったな…。 振り返ると、上條君が真剣な表情になっていた。 「頼れる先輩……。」 そう言うと、手首が離れて 「本当に?それだけ?」 どうしてそんなに聞くの? 「うん。」 「……だったら、食事に行ってみたら?」 え? 食事に? 下妻さんと食事に行ってもいいの? なんか心がモヤモヤしたのは何故だろう……。 「…………いいの?」 「いいよ。ただし、ヤバそうになったら連絡して。」 ヤバそう? 「その顔は何がヤバいのか、分からないって顔してるね。」 上條君は呆れた表情になって 「例えば、下妻さんが燈の家に行きたいとか、逆に下妻さんの家に連れて行こうとしたりとか、あと燈にお酒をいっぱい奨める場合も危険だよ。」 そういうものなの? じゃあ、上條君のお家に泊まった時に何もなかったのは………そう考えると、モヤモヤするのは、どうして? 「分かった。」 そう答えると、上條君がポケットからスマホを取り出して 「昼、もうすぐ終わるから戻ろう。」 上條君はスーツを整えて 「先に戻るから。」 給湯室を出ていった。 なんかモヤモヤする………。 どうして………? 一つため息をついて、私も戻った。 午後の仕事が始まって、仕事をしていると上條君が来て 「仕事、終わりました。」 「ありがとうございます。ここのロッカーのここに保管しておいて下さい。」 そう言いながら、ロッカーの扉を開けて棚に触れた。 「分かりました。」 上條君がニコッと笑った。 上條君の愛想笑い……。 まだドキッとしちゃう。 もう罰ゲーム、決まっちゃったから顔面に力を入れなくてもいいんだよね。 そう思っていると、上條君がポケットからメモ紙を取り出して、何かを書き始めた。 何を書いているんだろう。 上條君はメモ紙をちぎって私に見せた。 『あの顔になってる。やめて。』 やめて? これもお仕置きに入るの? 上條君を見ると、無表情で私を見ていた。 頷くと、上條君は仕事に戻って行った。 今の顔はなんだったの? そんなことを思っていると、スマホが鳴って見ると下妻さんからだった。 『今日の食事の場所、俺が勝手に決めちゃっていいか?』 ここはお任せした方がいいよね? 『はい、お願いします。』
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加