オレンジ☆チョコレート

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またすぐにスマホが鳴って『食事、楽しみにしてて。』 下妻さんからだった。 『分かりました。楽しみにしています。』 そう送ると、上條君が来て 「仕事を下さい。」 上條君にしてもらう仕事を探していると、根室さんが 「上條君、会議室の掃除をお願いできますか?3時から会議で掃除をお願いしたいの。」 「はい、分かりました。」 上條君がニコッと笑って 「的場さん、会議室はどこですか?」 あの顔にならないようにしなくちゃ。 「こっちです。」 立ち上がって会議室に向かった。 2人で廊下を歩いていると 「顔面、怖いですよ。なんとかならないんですか?」 上條君が怠そうな声で言った。 上條君がやめてって書いたから、また顔面に力を入れてるのに。 「どうしてもなってしまうみたいなので……。」 俯くと、ため息が聞こえて 「僕は普通にしてほしいんです。」 普通? 「普通に出来ないなら、マスクで顔を隠していてほしいくらい、やめてほしいです。」 そんなにやめてほしかったんだ。 「ごめんなさい。」 立ち止まって頭を下げると、上條君はため息をついて 「こんな所で頭を下げないでください。周りにどう見られるか考えて下さい。」 謝るしかないと思ったから、頭を下げたのに……。 「ごめんなさい、場所を考えてなくて…。」 「だから、やめて下さいって言ってるじゃないですか。会議室の場所、早く教えて下さい。」 上條君は迷惑そうな顔になって、先を歩き出した。 「分かりました。そっちを右に行くと会議室です。」 会議室のドアの前に着くと 「本当にマスクつけて。」 上條君は怠そうな表情で 「金出すから、マスク買ってきて。」 え? そんなに嫌なの? 上條君はポケットから財布を取り出して、私の手を掴んで千円を掌に乗せた。 「お釣りいらないから、買って付けて。」 「自分で買うよ。」 千円を返そうとすると 「お仕置き、忘れたの?今日1日、俺の言うことを聞く。」 これもお仕置きに入るの? 「分かった。」 千円をポケットにしまって、会議室のドアを開けた。 「掃除って、どのくらいすればいいの?」 上條君はスーツを脱いでワイシャツのボタンを外して、腕捲りをした。 「テーブルと椅子をきちんと並べたり、ホワイトボードをキレイにしたり、テーブルを水拭きしたり、床の掃除したり……。」 「どこに掃除用具あるの?」 「給湯室の横にあるよ。行こうか?」 上條君はテーブルを並べ始めた。 「行かなくていい。燈はマスクを買ってきたら?」 そんなにすぐに付けてほしいんだ……。 「分かった。仕事の合間をみて買ってくる。」
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