オレンジ☆チョコレート

薬屋さんに行って薬とマスクを買って戻ると、下妻さんからメールが来た。
『どうした？』と書かれていた。
『ちょっと体調が優れなくて、薬等を買いに行っていました。』と返すとすぐにメールが戻ってきて『今日の食事、やめようか？』

それは困る。
それもお仕置きの中に入ってるから。

『いいえ、大丈夫です。』と返すと、下妻さんが来た。

え？

「熱はあるか？」
下妻さんが心配そうな表情で私を見た。
「ないと思いますが、念のため薬を飲んでマスクしようかなと思いまして。」
そう言いながら、マスクを取り出してマスクを付けた。
「そうか。無理そうだったら言って。」
「わかりました。」

下妻さんにも心配かけちゃったな。

そう思っていると、根室さんがニヤニヤしながら私を見た。

なんだろう？
どうしてニヤけるの？

根室さんに声をかけようとしたら、根室さんの方から
「気にしないでね。」
と、言われた。

気にしないでって言われると気になる…。

そう思っているとスマホが鳴った。
上條君から『下妻さん、心配してたね。でも食事の約束は延期にならないようにしてね。』

分かってるよ………。
下妻さんにも、嘘をついて心苦しい……。

『分かってる。』と上條君に送り返した。

仕事に集中しなくちゃ。

仕事をしていると上條君が来て
「これでいいですか？」
プリントを渡してきた。
目を通して
「はい、出来てます。じゃあ、こっちのも、お願いできますか？」
ファイルを取り出して、やってほしいページを開いて上條君に見せた。
「はい、分かりました。」
上條君がニコッと笑った。

マスクしてるから、顔面に力を入れなくていいよね。

上條君はファイルを持って自分のデスクに戻った。

上條君からメモ紙とかメールが来ないってことは、マスクしてあの顔になっても大丈夫ってことだよね。
良かった。

そう思いながら、仕事をしていると
「上條くーん！これ、手伝ってくれる？」
松永さんの声が聞こえてきて、胸がチクッとした。

松永さんが上條君を呼んだだけで、どうして胸がチクッとしたの……？
昨日のこと、思い出しちゃう……。
今はダメ、仕事に集中しなくちゃ。

ため息を一つついて仕事を続けた。
上條君と松永さんの笑い声が聞こえてくる度に胸がチクッとする。

気にしない、気にしない。
私は仕事をするのよ。
耳栓でもあったら良かったかな……。

そう思いながら仕事に集中していると、５時になるちょっと前に上條君が来た。
「終わりました。これでいいですか？」
上條君からプリントを受け取って目を通した。
「出来てますね。これをファイルに挟んだら、終わりにしていいですよ。」
「はい、分かりました。」
上條君はニコッと笑った。

まだまだドキッしちゃうな。
いい加減、慣れないと。

上條君がファイルにプリントを挟んで持ってきた。
「ありがとうございました。」
それを受け取っていると、下妻さんが来て
「もうそろそろ行こうか？」