オレンジ☆チョコレート

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「はい。今準備するので、すみませんけど待っていてもらえますか?」 そう言うと、下妻さんがニンマリと笑って 「分かった。待ってるよ。」 すると上條君が 「2人でどこかに行くんですか?」 ニコッと笑った。 その言葉に下妻さんが照れたような顔になって頭を掻いて 「ちょっとな。」 「そうなんですか、的場さん、楽しみですね。」 上條君がニコッと笑った。 上條君、知っているのに……。 二重人格がすごい。 「そうですね、楽しみです。」 帰る準備をしながら、そう言うと根室さんが 「オオカミになったら気をつけて。」 ニヤリと笑った。 オオカミ? なんだろう? 下妻さんが慌てた様子で 「何を言って………そんなことするわけがない。」 根室さんが「うふふふ。」と笑った。 何がおかしいんだろう? 不思議に思いながら、鞄を持つと 「じゃあ、行こうか。」 下妻さんに背中を軽く押された。 「はい。」 どうして背中に触れるの? そう思いながら歩いてると下妻さんが 「体調はどう?」 「良くなりました。」 嘘が心苦しい……。 「そうか、色々迷ったんだけど、無理させるわけにはいかないからな。」 心配そうに私を見た。 「私のことは、そんなに気にしないで下さい……。」 心が苦しい……。 そう思っていると、スマホが鳴った。 上條君からメールが届いて『嫌な顔しないようにね、楽しんで。ヤバくなったら、連絡入れて。』 楽しんでって……胸がまたチクッとした。 どうして上條君に楽しんでって言われるとチクッとするんだろう………。 『分かった。』と返したら、下妻さんが 「仕事中も、誰かからメール来てたみたいだけど……。」 え? 私のことを見てたの? 上條君とメールしてるの知られたら、まずいよね…。 「え?」 驚くと下妻さんが目線をそらしながら頭を掻いて 「いや、ちょっと気になって…。仲良くしてる人いるのかなって。」 仲良くしてる人……。 仲良くしてるどころか、お仕置きをされてます……って言えないよね…。 「それなりには……。」 そう答えると、下妻さんが真剣な表情になって 「それは………男?」 私の顔を見た。 上條君であることは、言わない方がいいよね。 でも嘘はつきたくないから…。 「はい。」 そう答えると、下妻さんが下を向いて大きく息を吐いたかと思ったら、アハハハハと笑って 「そりゃ、いるよな。居てもおかしくないよな……。」 そう言ったきり無言になってしまった。 ……はいって言わない方がよかった? 下妻さんは何も話さなくなって、気まずい雰囲気の中を歩いた。
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