オレンジ☆チョコレート

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下妻さんがあるお店の前で立ち止まって 「ここのレストランどうかと、思ったんだけど……。いいか?」 それはイタリア料理のお店屋さんだった。 「はい。」 「じゃあ、入ろう。」 席に通されると、ちょっと高そうに見える店内にビックリしていると 「こういう店に女性を連れて入るのは、初めてなんだ。」 下妻さんと対面で座った。 「そうなんですか。」 私も男の人と入るの初めてだ。 マスクを外してメニューを見ていると、イタリア語の下に小さく日本語が書かれていて、値段は書かれていなかった。 どうして値段が書かれてないんだろう…。 下妻さんがメニューを見ながら 「どれがいい?」 「私は海老とアサリのパスタでいいです。」 「そっか、俺も同じものにするよ。飲み物は?」 「ウーロン茶でいいです。」 そう言うと下妻さんが 「赤ワインにしないか?パスタに合うと思うんだ。」 そうなの? 「じゃあ、赤ワインにします。」 それを店員さんに頼んだ。 下妻さんはテーブルにあるナプキンを膝にひくと 「今日は仕事、大変だったな。上條君の教育係り2日目はどう?」 「まだ慣れなくて大変です。」 下妻さんはテーブルに両肘をついて顔の前に拳作って片手で包み込みながら 「そうか。少しずつでも慣れていくいいな。」 「はい。」 そう言うと下妻さんは少し苦笑いをして 「その敬語、今はやめないか?」 やめた方がいいのかな……。 「下妻さんは先輩なので、敬語を抜きにするのは……。」 下を向くと 「今だけだから、そんなに固く考えなくていいんだから。」 そこまで言われたら、敬語をやめた方がいいよね。 顔をあげて 「分かった。」 そう言うと下妻さんは頷いて 「ありがとう。」 ニンマリと笑った。 「的場さんは、休日はどう過ごしている?」 え? 休日? 動画サイトの動画をボケーっと見て過ごしてるの言うの恥ずかしいな…。 「動画サイトの動物の動画を見たり、ネットサーフィンしたり……。」 恥ずかしくて目線をそらすと 「そうか。俺もネットサーフィンするなぁ。調べものしたりするよ。」 意外だ。 「下妻さん、そういうのに興味なさそうに見えてたから、なんだか意外。」 下妻さんを見ると 「そうか?あと、ネットショッピングもよくやってるよ。私服はほとんどネット。最近は店舗に行ってないなぁ。」 そうなんだ。 この話も意外だ。 「私もたまにネットショッピングするけど、サイズが合ってなかったり、色を間違えて頼んでたり、残念に思うことが多くて。やめようかなって思ってるところ。」 そう言うと、下妻さんはアハハハハと笑って 「そういうこともあるよな。的場さんらしい。」 私らしい? 下妻さんから見た私は、どう見えてるんだろう? 「そうなのかな?」 首を傾げると 「そうだよ。そういう所が好きなんだ。」 真っ直ぐな瞳で私を見た。
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