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へ?
今、好きって言った?
告白?
違うよね…?
どう対応したらいいんだろう……。
「そんなにビックリされると、自信失くすよ…。」
下妻さんが頭を掻いた。
え?
ビックリした顔をしてた?
「ごめんなさい。そんなつもりはなくて。」
そう言ってると、赤ワインとパスタが運ばれてきた。
ワイングラスに赤ワインが注がれて
「……そんなつもりはないってことは、自信持っていい?」
店員さんがまだいるのに……。
なんて答えよう…。
どうしたらいいの?
数秒の沈黙が流れたあと
「そんな困惑された顔を見ちゃうと、ダメだって分かった。」
下妻さんは苦笑して、赤ワインを一気に飲んだ。
え?
顔に出てた?
顔を触る仕草をしていると
「そういう所も、可愛いと思ってるんだ。だけど、さっきのことは忘れて。食べよう。」
下妻さんはフォークとスプーンを持って食べ始めて
「ん、上手いよ。早く食べないと冷めるぞ。」
忘れてって、こんなあっさりして下妻さんは大丈夫なの?
そう思いながら、ナプキンを膝にひいて食べ始めた。
なぜか下妻さんの赤ワインのおかわりが多くて、パスタを食べ終わる頃には、下妻さんの顔は真っ赤になってしまった。
「下妻さん、飲み過ぎじゃ。」
「大丈夫だ。ここのお代は俺が払うから。」
「いや、割り勘にしましょう。」
財布を出そうとすると
「いいから、俺の好きにさせてくれ。」
好きにさせてくれって言われちゃうと何も出来ない……。
「じゃあ、お願いします。ご馳走さまでした。」
そう言って頭を下げると、下妻さんがお金を払って
「行こうか?」
と立ち上がるとフラついた。
「大丈夫ですか?」
下妻さんの隣に行って、下妻さんの腕を持って自分の肩に担いだ。
「こんなカッコ悪い所、見せるつもりはなかったんだ。」
下妻さんの足はフラフラとして、真っ直ぐ歩けない。
重い……どうしよう……。
「すみません、水もらえますか?」
店員さんに水を頼んだ。
「悪いな。」
「いえいえ。」
店員さんから水を受けると、一気に飲み干して
「もう大丈夫だ。」
下妻さんは私から離れようとすると、またフラついて
「危ない!」
下妻さんの腕を掴んだ。
「的場さん、本当にすまない。」
もう一度下妻さんの腕を肩に担いで、お店を出た。
「少しどこかで休みましょう。」
どこかないかな……。
そう思って辺りを見回していると下妻さんが
「そこのホテルに入ろう。」
指で指した。
ピンク色の看板でホテルと書かれていた。
「はい。」
自動ドアを通るとロビーはなくて、部屋の写真が載っていてボタンで決めるようだった。
ロビーがないホテルもあるんだ……。
下妻さんがボタンを押して
「エレベーターに乗ろう。」
「はい。」
フラフラの足取りでエレベーターに乗って
「三階。」
「はい。」
下妻さんに言われてボタンを押した。
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