オレンジ☆チョコレート

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「誘うとか、アレとか…分からないけど?」 そう言うと目を見開いたかと思うとプッと笑った。 何がおかしいの……? 「マジ?」 「本当。」 上條君がお腹を抱えて笑う。 「もしかして免疫ないの?」 免疫って何? ていうか、笑いすぎ。 「免疫力は普通だと思うけど。」 少しムッとした。 「へえ~、それなりにあるんだ。」 上條君がニヤリと笑うと 「さっきの顔もテクなの?」 近づいてきた。 さっきの顔って……? しかも近い。 「何を言っているの?」 上條君の顔が近くてドキドキする。 「それなりにあるんでしょ?目が潤んでるよ。それもテクなの?」 そう言われて手で顔を隠した。 上條君、近すぎるよ……。 男の人とこんな至近距離、初めてだ。 めちゃくちゃ恥ずかしい。 「テクなんてない。来ないで。」 上條君から離れて本棚の横に隠れた。 本棚からソッと覗くと上條君が驚いた顔をした。 「なに泣いてんの?」 上條君に言われて頬に触れると涙が溢れていた。 勝手に涙が流れてきた。 私、何泣いてるんだろう。 恥ずかしい……。 「見ないで。」 本棚に隠れて手で涙を拭った。 「見ないでって……良い歳して、学生みたいな反応するなよ。」 面倒くさそうに頭を掻く。 学生って言われても、男の人があんなに近づいてくるの初めてだから。 「もう一回聞くけど、マジで免疫あるの?」 呆れたような表情で本棚に腰をかけた。 だから免疫って何? 本棚からソッと顔を出して 「免疫ってなんなの?」 勇気を出して聞くと、上條君が「はぁ?」と間の抜けた声を出した。 「男のに決まってるでしょ。そんなことも分かってなかったの?」 怪訝そうな顔で私を見た。 そんな顔をしなくても……。 「うん。」 「本当に頭がどうかしてるね。」 ため息をついた。 そこまで言わなくても……。 しゅんとしていると 「で、どうなの?」 フンッとした表情で腕組みをした。 「どうって何?」 「だから、男の免疫。燈、いい加減にしてよ。」 男の人の免疫……。 ないって言うべき? そもそも初対面でこんな質問するの…? 「男の人の免疫は……どうだかね。想像にまかせるよ。」 アハハハと笑うと 「ふーん、じゃあ、こんなことしても平気?」 上條君が立って近づいてきた。 なんで近づいてくるの! 上條君が一歩踏み出すと、私も後ろに一歩下がる。 「どうして逃げるの?」 ニヤリと笑う。 これ以上近づかないで! 心臓がもたないよ。 「逃げてないけど…。」 「燈は、この顔が好きなんだっけ?」 そう言うとニコッと笑った。 心臓がドキッとするのと同時に壁についてしまった。 こんな時でもドキッとするなんて……。 後ろの壁に当たっちゃったし。 「またそんな顔して。誘ってるの?」 上目遣いの上條君の手が伸びてきて、私の顔の横を通り抜けて壁に手をついた。 上條君と至近距離。 ドキドキする。 上條君と見つめ合うこと何秒か経ってやっと口に出来た言葉。 「誘ってない。」
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