オレンジ☆チョコレート

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「どっちって、急にどうして?」 そう聞くと上條君が不機嫌の表情のまま 「話したそうな顔してる。」 それは謝らなくちゃいけないから……。 でも、さっき禁止って言われたし……。 上條君の不機嫌……どうにかならないかな…。 まだ鳴り続けるスマホをポケットにしまうと 「話さなくていいの?」 話すの禁止って言ったのに、どうして聞いてくるの。 「うん。」 そう言うと、上條君は歩きだした。 また無言のまま歩いていると、スマホが何度も鳴って見る度に下妻さんの名前がディスプレイに出る。 下妻さん、心配してるのかな……。 途中で電話が切れたら、心配になるよね……。 住宅街に入ると、上條君が 「ここからは燈が先に歩いて。付いてくから。」 そう言われて、先を歩いた。 気まずいな……。 アパートの前に着いて 「ここのアパートに住んでるの。」 「東京出身なのに実家暮らしじゃないんだね。」 不機嫌の表情で私を見た。 上がってもらった方がいいよね。 不機嫌でも、ここまで送ってくれたし。 「まあ、色々あって。上條君、ここまで来て疲れたでしょ?お茶しかないけど、上がっていかない?」 「いいよ。帰る。」 カゴに入れてた鞄を私に渡して、Uターンしようとする上條君に 「昨日のお礼させて?」 そう言うと、少し睨んで 「不用意に男を家に入れない方がいいよ。」 男を家にって……少し休んでいけばいいと思ったから、言ったのに……。 「少し休んだらいいかなって思って…。」 下を向くと 「燈は男を知らなすぎてる。」 ため息まじりで上條君が言った。 男を知らなすぎてる? どういうこと? 「また分かってない顔してる。でも、そんなにお礼をしたいなら、家に上がってもいい。」 そう言うと、自転車をアパートの敷地内に入れて 「どこに置けばいい?」 「ここ。」 駐車していい場所を指で指した。 上條君が指定した場所に自転車を置いて、鍵を付けてる間に、私は自宅のドアを開けた。 「ちょっと待ってて。」 上條君に見られて恥ずかしいもの、あったっけ? 部屋の中の物を整えて、恥ずかしいものは押し入れの中に詰め込んだ。 玄関を出て上條君を見ると、自転車の椅子に寄りかかってタバコを吸っていた。 「終わった?」 不機嫌な顔じゃなくなってる。 タバコを吸ったから? 「うん。どうぞ。」 ドアを大きく開けると、上條君が携帯用灰皿にタバコを入れてポケットにしまいながら 「お邪魔します。」 靴を脱いで入ってきた。 「どうぞ。適当に座ってて。」 そう言って、お茶の準備をした。 上條君は奥の部屋の小さなテーブルとソファの間に胡座をかいて座った。 「燈って、テレビ見ないの?」 「情報はネットで見れるし、動画サイトばっかり見てるから、テレビはいらないかなって思って置いてないよ。」 「ふーん。」 湯呑みにお茶を注いで、お盆を出していると 「……下妻さんと何食べたの?」 え? どうして急に下妻さん?
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