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仕事をしていると、上條君が戻ってきて
「コピー、終わりました。」
「……ありがとうございます…。」
上條君からコピーしたプリントを受け取っていると、後ろから
「的場さん、上條君借りていい?」
振り返ると、松永さんだった。
胸がチクッとする。
「…はい。」
松永さんは私の顔を見て
「熱があるの?顔が真っ赤だけど……。」
え?
顔が真っ赤?
恥ずかしくて視線を外した。
「いいえ、大丈夫です。」
「そう?なら良かった。」
そう言うと、松永さんは上條君の方を向いて
「買い出しに行くんだけど、男手が必要なの。今から出たいから、準備してくれる?」
「はい、分かりました。」
上條君は、ニコッと笑った。
松永さんと上條君、2人で買い出し………。
なんかモヤモヤする。
10時になる前に会議室に行ってドアを開けると、金髪で背の高い同期の永本(ながもと)君がいた。
「あ、的場さん。良いとこにきた。」
そう言って、永本君は床を見ながら頭を掻いて
「ピアス、落としてさ。一緒に探してくれない?」
「……はい。」
2人でしゃがんで探していると、永本君がチラッと私を見て
「………的場さんさ、上條君と何かあるの?」
「え?」
驚いて永本君を見ると
「今朝、後輩に向ける表情じゃない顔してたからさ。」
え?
見られてたの?
恥ずかしくて下を向くと、
「……上條君と何があるの?」
そう言われて、昨日のことと、仕事中の出来事を思い出すと顔が熱くなった。
「その顔してた。」
「え?」
永本君と目を合わすと、永本君の目が見開いて、顔を背けられた。
え?
どうして顔を背けるんだろう………。
不思議に思いながら探していると、床に光ってるピアスを見つけた。
手を伸ばそうとした時、その手首を永本君に掴まれて後ろに向けられて体勢が崩れた。
そのまま尻もちをついて後ろに倒れ込むと、永本君が私の片手首を床に付けて、私を見下ろしていた。
え?
永本君に手首を掴まれた………。
永本君の瞳がギラギラして見えて
「………永本君?」
そう言うと、永本君は唾を飲み込んだ。
永本君はネクタイを片手で外すと、私の手首を掴んで頭の上に持っていく。
え?
何をするの………?
「ちょっと、永本君!何をして」
言い終わる前に
「ごめん、やりたくなった。」
やりたくなった?
何を?
そう思っていると、永本君は近くにあった椅子に片手を伸ばして掴むと、私の頭の上に持ってきて、ネクタイで私の両手首と椅子の脚を縛った。
え?
これって………人質になる人にすることだよね………。
しかも、やりたくなったって………殺したくなったってこと…………?
どうして………?
「永本君、私をどうするつもりなんですか?」
そう言うと、永本君は無表情で
「……痛くはしないつもり。」
痛くしないって………どうやって私を殺そうとしてるの………?
そう思っていると、永本君は瞼を閉じて、私の顔に近づいてきた。
え?
永本君の唇が私の唇に近づく。
これは……キス………?
そう思ってると、上條君の昨日の言葉が頭に過って顔を横に背けると、永本君の唇が私の頬に触れた。
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