オレンジ☆チョコレート

38/41
前へ
/41ページ
次へ
永本君は唇を離すと、片手で私の髪の毛を後ろに流す。 何をするつもりなの………? そう思ってると、永本君は私の首の横に顔を埋めてきた。 え? 何をしてるの………? 永本君は小さく「ん?」と呟いて、スーッと吸い込んで、ゆっくり吐く。 首に永本君の息がかかって、体がゾワゾワする。 「………的場さん、…良い匂いする……。俺、………匂いフェチだから……的場さんの匂い、どストライク…………。」 そう言って、永本君の鼻が首に触れて、もう一度、スーッと吸って吐いた。 体がゾワゾワする………。 そう思ってると、永本君が私のうなじの方に顔を移動させて、クンクンと匂いを嗅ぐ。 「………やめて………下さい………。」 「………好みの匂い。」 そう言うと、永本君は私から離れて、両手首と椅子の脚を縛っているネクタイを解いた。 解放された…………良かった………。 でも、やりたくなったって………匂いを嗅ぐこと………? そう思ってると、永本君は私の側で片膝をつけてしゃがんで 「………ごめん。……お詫びさせて。」 お詫び……………。 そう思いながら体を起こして立ち上がると、会議室のドアが開いて下妻さんが入ってきた。 「ん?永本君、ここにいたんだ、佐々木(ささき)さんが探してたぞ。」 「……分かりました。」 永本君は床に落ちてるピアスを拾って、会議室を出て行った。 永本君が出ていくと、下妻さんは椅子に座って、テーブルを挟んで反対側を手で示して 「……座ってくれ。」 「………はい。」 椅子に座ると、下妻さんはテーブルの上で両手を組んで目線を反らしながら 「………話というのは……………なんというか…………何かあったか?」 え? 何かってなんだろう…………。 黙ってると、下妻さんは顔を下に向けて 「…………聞こうか迷ったんだけど…………さっき赤い表情をして…………瞳を潤ませていたから………。」 え? 私、目まで潤ませていたの………? そう思ってると、下妻さんは顔をあげて目線を反らしながら 「……………言いにくいんだが、…………その表情で仕事されると、……………困る人が出てくると思うんだ…………。」 「…………すみませんでした、以後、気をつけます。」 頭を下げると、下妻さんが真剣な表情で 「……何があったか分からないけど、………少なくとも、俺は的場さんと仕事をする上で………困る……。…………ここからは私的なことになるけど………………もしそのことが原因で、何かあったら守るつもりでいる………。」 え? 守る…………? 初めて男の人に言われた……………。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加