オレンジ☆チョコレート

4/41
前へ
/41ページ
次へ
上條君は私から離れて 「……だったら、簡単にそんな顔しない方がいいよ。」 テーブルに腰をかけて、置いてあるファイルの中身をパラパラと見る。 そんな顔ってどんな顔のこと? まだ心臓がドキドキしてる。 「どんな顔のことか分からないんだけど。」 「忠告はしたから。でさ、これ何時までにやればいいの?」 上條君はファイルを何個か持って本棚に向かった。 上條君、教えてくれないんだ…。 しかも切り替えが早い…。 私はまだドキドキしてるのに。 「ねぇ、聞いてるの?」 上條君はファイルを棚にしまいながら、ため息をついた。 「燈、しっかりしてよ。」 そんなすぐに切り替えられないよ……。 「えっと、午前中までに終わらせてくれる?古いファイルもあるから丁寧に扱ってね。」 「はいはい、わかった。」 上條君の返事を聞いて私は仕事に戻った。 仕事に戻っても、さっきの上條君とのことが頭から離れなくて仕事に集中出来なかった。 切り替えなきゃ。 ちゃんとしないと。 12時になってコンビニにご飯を買いに行こうと準備していると 「的場さん、保管庫の整理が終りました。」 上條君の声に体がビクッと反応する。 どうして体がビクビクするのだろう……。 恥ずかしくて上條君の顔を見れない。 「ありがとうございました、お昼にしていいですよ。」 下を向きながら答えると 「分かりました。的場さん、お昼ご一緒していいですか?」 その言葉に顔を上げた。 え?どうして? 「まだ教えてもらいたいこともありますし。」 上條君がニコッと笑った。 心臓がドキッとする。 またドキッとしちゃった…。 コンビニ弁当で済ませようと思ったのに、買いに行くって言えなくなっちゃったな。 「いいですよ。何か好きな食べ物、ありますか?」 「肉が好きですね。」 上條君が微笑むとまたドキッとする。 体が勝手にドキドキしてる……。 「じゃあ、美味しいお肉の定食屋さんに行きましょう。」 「はい。」 上條君と廊下を歩いていると 「的場さん、保管庫でのこと覚えていますか?」 呆れた表情で頭を掻く。 覚えていますかって、忘れられるはずないよ。 そのせいで仕事に集中出来なかったんだから。 「はい。覚えてますよ。」 エレベーターの前でボタンを押すと 「覚えているのに学習しないんですね。」 学習って、体が勝手に反応してしまう。 「それは……。」 そう言うと、エレベーターが到着してドアが開いた。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加