オレンジ☆チョコレート

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エレベーターに乗り込むと 「あーあ、密室空間になっちゃったね。」 「そうね。」 私の前に上條君が来て 「どうしてさっき体がビクついてたの?」 エレベーターの壁に片手をついてニヤリと笑った。 「しかも、学習能力ゼロ。」 やっぱり気づかれてた、体が反応したの…。 恥ずかしい…。 恥ずかしすぎて俯くと 「あんな分かりやすい態度してたら、周りにモロバレじゃん。」 呆れたような声に 「ごめんなさい。」 なんで謝ってるんだろう……。 でも確かに周りに変な目で見られちゃうな。 なんだか立場が逆転してるような気がする。 エレベーターが1階に到着してドアが開くと、上條君は壁についてた手を下ろして 「これからはお願いしますね。」 そう言って先に出ていった。 切り替え、早いよ…。 会社のビルを出ると 「定食屋って本当に美味しいの?燈のオススメは不安でしかないんだけど…。」 不安って信頼されてないんだ…。 「美味しいと私は思ってるよ。」 そう言うと上條君はため息をついて 「それが不安なんだってば。」 そう言ってポケットからスマホを取り出した。 両手でパッパッと操作する。 味覚も信頼されてないんだ…。 それにしてもスマホの操作、早いな……。 「この先に美味しい店あるって。そこにしよう。」 スマホを見せながら 「星がいっぱい付いてるし、美味しいってレビューがいっぱいあるから、安心。」 キョトンした表情でスマホをしまうと先を歩いてく。 私の意見は聞かないのね。 上條君が決めたお店に入ると、いっぱい人がいた。 「混んでるね。」 「そりゃそうでしょ。星がいっぱい付いてたんだから。」 上條君は呆れたようの表情で私を見た。 「ここのお店は何が美味しいの?」 「オムライス。」 あんなに早くスマホを操作してたのに、ちゃんとレビュー、読んでたんだ。 上條君とオムライスを食べることにした。 オムライスが来るまでの間、上條君はスマホを弄っていた。 一応、私、会社の先輩なんだけどな……。 「何?人の顔をジロジロ見て。」 上條君が怪訝そうな顔をした。 「いや、若いなって思って。」 「若い男が好きなの?」 「は?」 なんでそうなるの? 「燈はこの顔が好きなんだよね?俺の愛想笑い。」 ニコッと笑って見せた。 心臓がドキッとする。 「ほら、またその顔。」 蔑むような目で私を見た。 勝手にドキドキしちゃう。 私は目線をそらして 「それは体が勝手に…。」 「ふーん、体がねぇ。」 上條君が蔑むような表情でスマホを私に向けてカメラのシャッター音が鳴った。 今、撮られた? 「燈、こんな顔してるんだよ。」
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