オレンジ☆チョコレート

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「的場さん、コピー機の使い方を教えてもらえませんか?」 上條君がニコッと笑う。 また上條君の笑顔……。 ダメダメ。 コピー機がある場所に向かいながら 「コピー機は2つあるけど、どっち使ってもいいですよ。」 上條君とコピー機の前で並んだ。 「はい、分かりました。」 上條君が私の顔を覗き込んでニコリとする。 だからダメダメダメだって…。 なんだか面白がってる……? 上條君の笑顔の攻撃にコピー機を見て 「これを開けて、ここに置いて、こうして、ここを押すと始まります。じゃあ、よろしくお願いしますね。」 上條君の顔を見ないように戻ろうとすると 「はい。的場さん、ありがとうございます。」 丁寧にお辞儀した後にニコッと笑った。 また笑った。 でも初めて感謝された。 なんか嬉しいな。 「いえいえ、お願いしますね。」 そういうと上條君が目を見開いた。 ん?何、その顔は…。 上條君は無表情でコピー機の方に向いて仕事を始めた。 私はデスクに戻って仕事をしていると 「コピー、終わりました。」 上條君がコピーした資料を持ってきた。 「ありがとうございます。」 プリントの上にメモ紙が乗っていた。 そこには『さっきの嬉しそうな顔は何?』と書かれていた。 嬉しそうな顔? 嬉しかったから嬉しい顔になっただけなんだけど。 「次はこの用紙、シュレッダーにかけて下さい。」 そう言ってプリントを渡すと 「シュレッダーはどこにありますか?」 ニコッと笑った。 ダメダメ……。 そうだ、上條君の顔じゃなくて首あたりを見よう。 「シュレッダーはこっちにあります。」 上條君の首を見ながらシュレッダーの場所を教えると 「的場さん、具合悪いんですか?」 上條君が心配そうな顔で覗き込んできた。 でも、その口元は笑ってる。 何、その顔は。 心配してるふりして笑ってる。 「大丈夫です。」 「そうですか?無理しないで下さいね。」 ニコッと笑った後、耳元に近寄ってきて「首を見るのは反則だよ。」と囁いてきた。 その囁きにビックリして体がビクッとなった。 どうして囁くの? 上條君が近づいてきてドキドキしちゃうし、体がビクッと反応しちゃった。 恥ずかしい……。 しかも男の人に囁かれたの初めて…。 ドキドキが止まらなくて視線を外しながら 「ここを弄ると動きます。」 そう言うと上條君はキョトンとした顔をして 「どうしたんですか?何かいますか?」 私が視線を向けた方向を見てから、耳元に近づいて「それも反則。」と囁いた。 また体がビクッとなる。 それを見て上條君はニヤリと笑った。 また体が反応しちゃった。 上條君に完全に面白がられてる。 「……何もいません。」 「的場さん、大丈夫ですか?」 上條君は心配そうな顔をしてるけど、またニヤリと笑う。 上條君に遊ばれているような気がする…。 早く離れなくちゃ。 「大丈夫です。あとはよろしくお願いします。」 そう言ってデスクに戻った。
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