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彼女とまた出逢ってしまったのは、その三日後。
あの日と同じように夕立ちに追われ。
逃げ込んだあの日と同じ場所。
そこにいた先客が彼女だったことに驚きと動揺が隠せないで立ち尽くしてしまったら。
「早く入ってください、濡れちゃう」
俺の腕を引き、バス停の中へと促してくれた。
また会ったね、なんて言うのが恥ずかしくて、雲行きを見守るようにじっと空を仰ぐ。
隣にいる存在を微塵も気にしてないかのようにポーカーフェイスを引っ提げて。
だけど彼女がほんの少し動く度に意識は奪われる。
時折光る稲妻と、ドンッと心臓を跳ね上げるようなやかましい音に、彼女は以前と同じように首をすくめていて。
何かを思い出したように、胸元のポケットからイヤホンを二つ出した。
俺がその様子を見ていたことに気づいたらしい彼女は。
「片方、どうぞ」
指でつまんだイヤホンを俺に押し付けてくる。
い、いや、俺も自分の持ってるし。
つうか、稲妻は実はそんなに怖くもないのだけれど。
「少しは音、紛れますよ」
笑った顔に弾かれたように、イヤホンを受け取った。
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