雨が上がるまで

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 走ってきた私を見て、彼は微笑んだ。 「来るんじゃないかなって、思ってた」  どうぞ、と私のために開けてくれたスペース。  その隣に立って、何から話そうかって考えていた時。  彼が口を開く。 「何年生?」 「え、あ、二年、です」 「じゃあ、同じだ」  はにかむように笑った彼と、目が合い私も笑う。  三度目の夕立、雨宿り。 「名前、聞いてもいい、ですか?」  雨が上がるまでに、あなたのことをもう少し教えて――。
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