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 15:45人通りの少ない北棟の3階で愛菜を待ってると、北棟と南棟を繋ぐ渡り廊下を歩いている流斗の姿が硝子越しに見えた。  誰かと一緒だ。  髪の長い女性。  二人は親しそうに話しながら南棟から北棟へと向かって来る。  私が立っている場所は渡り廊下から右に曲がって暫く歩いた所。勿論、流斗が渡り廊下の右側にある窓を見たら私が見えるはずだけど、流斗はどうやら私に気付いていない。  二人は北棟に入ると、こちらを見ずに左側に曲がった。その時、流斗は女性の腕を引っ張ると、二人は直ぐ側の小講義室へと姿を消した。  北棟の3階は普段ほぼ使われていない。  流斗はとなぜ使われていない小講義室に入ったの?  私は足先を階段がある左側へ向けた。何だかここに居たくない。  愛菜と約束していることも忘れて、階段を降りようとしたら、胸が高鳴った。  「厳島さん、どうしたんですか?体験型夏季特別講義の説明会へ参加するとお聞きしたのですが、場所わかりませんでしたか?」  階段を上がって来た上ノ宮教授と出会した。  「あっ、いえ、今一緒に参加する白井さんを待っていたんですが……」  「しらいさん……ああ、いつも貴女(あなた)と一緒にいる方ですね。まだ来ていないのですか?」  「あっ、はい」  上ノ宮教授と講義室以外でまともに話したのは初めてだ。  胸の鼓動は治らず、上ノ宮教授にも聴こえてしまうのではと考えると更に鼓動は速くなる。  あの日、スマートフォンの画面越しに私は一目惚れしたのだろうか?でも、どうしてもそういうドキドキとは違う気がする。  何か、懐かしいような……でも少し怖いような。  一体この気持ちはなんだろう?  「詩音?上ノ宮教授!」  階段を上がって来た愛菜の姿があった。  「厳島さん、どうやら待ち人が到着したようですよ」  「あっ、はい。すみません教授、足止めをさせてしまって」  私は上ノ宮教授に向かって不自然な程頭を深く下げた。  「いやいや、良いんですよ厳島さん。それよりも僕先にゼミ室へ向かいますが、場所わかりますか?」  「はい、大丈夫です。ありがとうございました」  上ノ宮教授は軽く会釈すると、急ぎ足で北棟の右側に位置するゼミ室へと向かった。  時計を見ると16時1分  「なに、なに、詩音。上ノ宮教授と何話していたのよ?」  上ノ宮教授が去った後、ニヤけながら愛菜が聞いてくる。  「愛菜、そういうのは後。私達も急ごう、もう16時過ぎてる」  「えっ、うそ」  愛菜は時計を見ると。  「ヤバい行こう」  私達も急ぎ足でゼミ室へと向かった。  
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