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流斗の声が心なしか冷たいで振り向くと、
駐車場には、10人乗り位の大きなワゴン車が入って来た。
「遅れて、悪い」
大きいワゴン車なのに田島くんは巧みに乗り回し、駐車場に停めた。
「豪、本当遅かったな」
黒木くんが言うと、田島くんはもう一度謝った。
「いや、本当に悪かった。さあ、荷物を詰めてくれ」
皆んなが荷物をワゴン車のトランクに詰め始める。
先ずは愛菜が、そんなに大きくない旅行バッグを積む、次には流斗が大きめのトランクケースを積む。
「おまえ、何だそのトランクケース。1泊2日だぞ、女優かよ。」
田島くんがまた流斗に絡む。
「ああ、これ俺のじゃないんだ。三奈木先生から頼まれたんだ。自分は後から自家用車で行くから、持って行ってくれって」
三奈木先生?
流斗、来る前に三奈木先生に会って来たの?
「あの女、自分の車で行くんなら、何で荷物自分で持っていかないんだ?」
怒りながら、田島くんは車のトランクを整える。
「ってかさあ、このトランクケース重くないか?おまえ、よく持ち上げたな」
田島くんはまだぶつぶつと小言を言っている。
「そんなに重いか?田島だっけ?おまえも少しは鍛えた方が良いんじゃないか?」
色白で痩せ型の流斗に言われて、浅黒い肌の体育会系の体型をしている田島くんは悔しい表情をしている。
「まあいいや、次は誰の荷物だ?」
田島くんの呼び掛けに上ノ宮教授は自分の荷物を渡し始めた。
「悪いが、田島くん粗末に扱わないでくれ。殆どが精密機器だ」
「わかってるよ、教授。心配しなくても壊したりしないさ」
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