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上ノ宮教授はそんなに大きい荷物は無いけど、ボストンバッグ程の大きさのジュラルミンケースを複数持って来ている。
上ノ宮教授の次は佐野くんが田島くんに荷物を渡し始めた。こちらは何故かダンボール箱だ。
「何だよ、これ」
ダンボールを渡された田島くんは重たそうに積めながら、キレている。
「で、次は?」
田島くんは、私に向けて手を伸ばして来た。
「私は大丈夫。ほら、このリュックだけだから、膝に乗せて行くよ」
私は持っているリュックを田島くんに見せる。
「ああっそう……慎也は?」
田島くんは黒木くんの方に目を向ける。だけど、黒木くんも手に持っているのは背中に掛けているボディバッグとカメラバッグのような物。
「いや、僕も膝に乗せて行くから大丈夫だよ」
「ああ、わかった。じゃあこれで全部ですか、教授?」
田島くんが教授に確認を取っていると、遠くから髪の毛を二つに結んだ、黒髪の少女が走りながら向かって来た。
「すみませーん、遅れましたー」
少しメイクは濃いけど、大きい目が特徴の美少女。
いや、大きいの目だけではない。
彼女が走る度に揺れる。
「あ、あの子が1年の子?凄いわね」
愛菜が一体何を指して凄いって言っているのか想像が付く。
「そうだね、多分あの子が進藤杏梨さんかな?」
上ノ宮教授を除く男4人が美少女に目を向ける。
と、いうか彼女の胸辺りに目が向いているような……
「オッホン、ン、ン」
愛菜が不自然な程大きな声で咳払いをする。
すると、男子学生4人は視線を逸らした。
私の横に立っている流斗を横目で見ると、流斗もこちらに目を向けていた。
声に出さず"ヘンタイ"と口を動かすと、流斗はスッとボケた顔をした。
田島くんはまだ進藤杏梨さんの胸辺りを見ているのか、ニヤニヤしている。
佐野くんは異様に汗をかいている。
黒木くんは……何故か進藤杏梨さんの胸ではなく、別の所に目が行っている。
彼女の手元?
そういえば黒木くんだけは彼女を見ているというより、彼女が持っているトランクケースを見ているような……気がする。
「じゃあ、杏梨ちゃんだっけ?に、荷物預かるよ」
田島くんが鼻の下を伸ばしながら、進藤さんの荷物を預かる。
「これは、これで重てえなあ。ウッ」
「おいおい、大丈夫か?」
田島くんが進藤さんのトランクケースを落としそうになり、流斗が手を差し出した。
「……?」
進藤さんのトランクケースを掴んだ時、流斗が一瞬、怪訝そうな表情を見せた。
何だろう?
「ねえ詩音、真面目にさあ本当はどうなの?」
田島くんと流斗が二人でワゴン車のトランクを整えている時に愛菜が唐突に訊いてきた。
「えっ?」
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